西暦1787年 - 寛政の改革

松平定信による倹約令
松平定信
1787年(天明7年)、徳川家斉 (とくがわいえなり) が第11代将軍になり、浅間山噴火から東北地方を中心とした天明の大飢饉などで一揆や打ちこわしが続発し、さらに役人の賄賂などが明るみに出て、田沼意次 (たぬまおきつぐ) が失脚すると、、老中に松平定信 (まつだいらさだのぶ) を起用する。

松平定信は、田沼時代の行き過ぎた重商政策によって傾いた財政の立て直しを図るため、祖父に当たる8代将軍・徳川吉宗 (とくがわよしむね) 享保の改革に倣い、倹約令を発布し、寛政の改革を断行する。
ちなみに、老中に就く前、松平定信は陸奥白河 (むつしらかわ) 藩主であった。藩政に尽力し、天明の大飢饉の際には藩内で餓死者を出さなかったという。
まず、旗本・御家人などを救済するため、債権者である札差 (ふださし) に対し、6年以上前の債権破棄、および5年以内になされた借金の利子引き下げを命じる棄捐令 (きえんれい) を発した。
また、諸藩の大名に飢饉に備えるため、各地に社倉・義倉を築かせ、穀物の備蓄を命じる囲米 (かこいまい) の制を命じた。
朱子学は、江戸幕府が開かれた当初は重んじられたが、次第に実学が学ばれるようになっていった。そこで、定信は朱子学を幕府公認の学問と定め、農業を重視し、身分・秩序を重んじる考え方を復興させようとした。

しかし、これらの厳しい命令が矢継ぎ早に出されたため、定信は民衆に嫌われ、1793年(寛政5年) 老中の座を追われる。このときをもって、寛政の改革は終わったとされている。

寛政の改革の際、火付盗賊改役にあった長谷川宣以 (はせがわのぶため) (平蔵)は、犯罪者の更生施設である人足寄場を石川島に設立することを提案した。そこで上司である松平定信に予算の増額を要求するのだが受け入れられず、幕府から阿須かっら資金を銭相場に投じるという荒技で資金を確保した。

江戸時代の三大改革

改 革 享保の改革 寛政の改革 天保の改革
年 代 1716~1745年 1787~1793年 1841~1843年
将 軍 8代・吉宗 11代・家斉 12代・家慶
主導者 将軍・徳川吉宗 老中・松平定信 老中・水野忠邦
契機 5代・綱吉の時代からの財政悪化の改善 田沼時代の行き過ぎた重商主義の反省と天明の大飢饉対策 天保の大飢饉や大塩平八郎の乱などによる幕藩体制の弱体化を防ぐ
主な改革 新田開発
目安箱
上げ米の制
棄捐令
朱子学の奨励
囲米の制
流通統制
株仲間の解散
人返し令

この時代の世界

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参考書籍

表紙 日本人なら身につけたい江戸の「粋」
著者 植月真澄
出版社 河出書房新社
サイズ 新書
発売日 2008年09月
価格 777円(税込)
rakuten
ISBN 9784309503462
制約だらけでも自由闊達に生きた江戸の人々と、物質的には豊かだが、閉塞感を感じている現代人。その違いは「粋」に生きているか否かにある。どうすれば「粋な人」になれるのか?江戸っ子の暮らしぶりから「粋のエッセンス」を抽出した、「野暮な奴」にならないための必読の書。
 
(この項おわり)
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