西暦1532年 - マキャベリ『君主論』出版

歴史上の様々な君主および君主国を分析
マキャベリ『君主論』
1532年、イタリアの政治思想家ニッコロ・マキャベリの『君主論』が出版される。
歴史上の様々な君主および君主国を分析し、君主とはどうあるものか、君主として権力を獲得し、また保持し続けるにはどのような力量(徳、ヴィルトゥ)が必要かなどを論じている。

君主に権謀術数を教えた(マキャベリズム)とされることが多いが、現実主義の古典であり、後代のルソーなどから評価されている。
マキャベリ家は、フィレンツェ共和国の要職を何人か輩出している名家である。
マキャベリ自身も、1498年、ピエロ・ソデリーニ政権下の第2書記局長に選出される。内政・軍政を所管している部署であったことから、ピサ領有の重要性を説き、1500年にはフィレンツェ軍顧問の副官としてピサ攻略に赴いた。しかし、フランス王が協約を違え、ピサ領有に失敗する。
この苦い経験から、マキャベリは、国の根源は傭兵に拠らない軍事力にあると確信し、国民軍の創設を計画した。そして、権謀術数に長けた教皇軍総司令官チェーザレ・ボルジアに理想の君主像を見出すようになった。

だが、メディチ家のフィレンツェ復権を後押しするハプスブルク家スペインの前に、1512年、マキャヴェッリは失脚し、隠遁生活に入る。
君主論』が1513年から1514年にかけて執筆されたと考えられており、マキャベリは1516年にフィレンツェ僭主となったロレンツォ・ディ・ピエロ・デ・メディチ(ロレンツォ2世)に献上した。

その後、メディチ家政権下で顧問的に用いられるようになったマキャヴェッリであるが、1527年に発生したローマ略奪でメディチ家がフィレンツェから追放されると、失意のうちに病死する。
君主論』は写本として読まれてきたが、出版されたのは、マキャベリの死後となる1532年のことである。

参考書籍

表紙 君主論
著者 ニッコロ・マキアヴェッリ/佐々木 毅
出版社 講談社
サイズ 文庫
発売日 2004年12月
価格 1,210円(税込)
ISBN 9784061596894
近代政治学の古典として名高い『君主論』。その著者マキアヴェッリは、都市国家が並び立つルネサンスのイタリアにあって、共和政のフィレンツェ市書記官として活躍。国際政治の荒波のなか、軍事、外交にわたり東奔西走の日々を送った。その豊かな体験を生かして権力の生態を踏まえた統治術として執筆した名著を、政治学の第一人者が全訳し解説する。(講談社学術文庫) 近代政治学の名著を平易に全訳した大文字版。乱世のルネサンス期、フィレンツェの外交官として活躍したマキアヴェッリ。その代表作『君主論』を政治学の第一人者が全訳し権力の獲得と維持、喪失の原因を探る。 献 辞 ロレンツォ・デ・メディチ殿下に捧げる 第1章 支配権の種類とその獲得方法 第2章 世襲の君主権について 第3章 複合的君主権について 第4章 アレクサンドロスによって征服されたダレイオス王国では、アレクサンドロスの死後、その後継者に対して反乱が生じなかったのは何故か 第5章 征服される以前、固有の法に従って統治されていた都市や君主国をどう支配すべきか 第6章 自己の武力と能力とで獲得した新しい君主権について 第7章 他人の武力または幸運によって得た君主権について 第8章 極悪非道な手段によって君主となった場合について 第9章 市民の支持によって得た君主権について 第10章 どのようにすべての支配者の力を測定すべきか 第11章 教会の支配権について 第12章 軍隊の種類と傭兵について 第13章 援軍と自己の軍隊とについて 第14章 軍事に関する君主の義務について 第15章 人間、特に君主が称讃され、非難される原因となる事柄について 第16章 気前良さとけちについて 第17章 残酷さと慈悲深さとについて、敬愛されるのと恐れられるのとではどちらがよいか 第18章 君主は信義をどのように守るべきか 第19章 軽蔑と憎悪とを避けるべきである 第20章 砦やその他君主が日常的に行う事柄は有益かどうか 第21章 尊敬を得るためにはどのように行動したらよいか 第22章 君主の秘書官について 第23章 追従を避けるにはどうしたらよいか 第24章 イタリアの君主達はどうして支配権を失ったのか 第25章 人間世界に対して運命の持つ力とそれに対決する方法について 第26章 イタリアを蛮族から解放すべし
 
表紙 NHK「100分de名著」ブックス マキャベリ 君主論
著者 武田好
出版社 NHK出版
サイズ 単行本
発売日 2012年08月
価格 1,100円(税込)
ISBN 9784140815274
政治的リアリティでもって、キリスト教的倫理観を排し、「権謀術数の書」として物議を醸した『君主論』。現代では帝王学のマニュアルとして切り貼りされがちだ。しかし、それが政庁への再雇用を求めたマキャベリが自分のために、自分の経験をもとに記した「政治実践の書」であったことはあまり知られていない。ルネサンス期のフィレンツェで辣腕をふるった書記官による、乱世を生き抜くための政治哲学を紹介する。東郷和彦氏との対談/読書案内/年譜を新たに収載。
 
表紙 君主論 (まんがで読破)
著者 マキアヴェッリ
出版社 イースト・プレス
サイズ 文庫
発売日 2008年09月30日頃
価格 607円(税込)
ISBN 9784781600048
16世紀のヨーロッパは混乱の真っ直中にあった……。 マキアヴェッリはイタリアのフィレンツェ政庁の官僚として、 がむしゃらに働き、各国の君主たちと出会い、 宗教、道徳から切り離された現実主義的な政治理論を創始していく……。 リーダーが歩むべき道を示す権謀術数書『君主論』をマキアヴェッリの人生とあわせて漫画化。
 

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