日本科学未来館:特別展「チ。 ―地球の運動について― 地球が動く」

2025年5月16日 撮影

特別展「チ。 ―地球の運動について― 地球が動く」

チ。 ―地球の運動について― 地球が動く - 日本科学未来館
チ。 ―地球の運動について― 地球が動く
日本科学未来館(東京都江東区青海2-3-6)で開催している特別展「チ。 ―地球の運動について― 地球 (いわ) が動く」(2025年3月14日~6月1日)を見に行った。
チ。-地球の運動について-』は、魚豊 (うおと) さんが、「ビッグコミックスピリッツ」2020年(令和2年)9月から2022年(令和4年)4月まで連載していた漫画。
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地動説研究ノート - 日本科学未来館
地動説研究ノート
入口で「地動説研究ノート」をもらう。難易度が高い天文学者用と閉な天文助手用のいずれか1冊を選び、展示を見ながらクイズに答えていく。出口で回答とキャラクターシールを受け取れる仕組み。入口を入ると、オープニングアニメーションが始まる。
チ。 ―地球の運動について― 地球が動く - 日本科学未来館
チ。 ―地球の運動について― 地球が動く
2024年(令和6年)10月から2025年(令和7年)3月までNHK総合にてテレビアニメが放送された。
中世ヨーロッパを思わせる15世紀前期のP王国において、C教の異端審問官たちに追われ、禁じられた地動説を命がけで研究する人間たちの生き様と信念を描く。
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チ。 ―地球の運動について― 地球が動く - 日本科学未来館
チ。 ―地球の運動について― 地球が動く
ジョルダーノ・ブルーノの火刑やガリレオ裁判の史実を逆手にとったフィクションであるが、最後にどんでん返しが用意されている。
登場人物はオッサンが中心であるにもかかわらず、女性客がやたらに目立った。イケボ( 津田健次郎、速水奨、中村悠一、日野聡)だけで集客できるのか🤔
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アストロラーベ - 日本科学未来館
アストロラーベ
漫画/アニメに登場する古代の天体観測装置「アストロラーベ」を触ることができる。星座早見盤のルーツとも言われ、イスラム世界を経由して中世ヨーロッパにもたらされた。
天体望遠鏡が発明されていなかった時代、アストロラーベを使って肉眼で星を観察し、その位置を記録していたと考えれる。真鍮製のようで、かなりの重量がある。三脚に取り付けないと、長時間の観測は厳しそうだ。
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アストロラーベ - 日本科学未来館
アストロラーベ
惑星は「さまよう星」と呼ばれるように、位置関係が変わらない恒星の間を縫うように位置を変えていく。日ごと、週ごとに観察を続けると、恒星の間を西から東へ移動しているように見える。これを順行 (じゅんこう) という。ところが、火星などは、時々、移動が止まったかと思うと、東から西へ移動(逆行 (ぎゃっこう) )をはじめる。しばらくすると順行に戻る。
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逆行と周転円 - 日本科学未来館
逆行と周転円
たとえば火星の逆行を天動説で説明しようとすると、火星の公転軌道が左図のような複雑なカーブになる。この現象を説明するために、地球の周りを周転円 (しゅうてんえん) が公転しており、周転円の縁に沿って火星が回転していると考えた。
ところが、ラファウのように正確に観測記録を取るものが現れると、周転円が1つでは観測結果と合わなくなり、その辻褄合わせのために周転円を何重にも組み合わせなければならなかった。
地動説 - 日本科学未来館
地動説
だが、太陽を中心に置く地動説であれば、左図のようにシンプルなモデルで逆行を説明することができる。実際には惑星の軌道は真円でないため誤差が出るのだが、バデーニは惑星のペンダントの紐の部分から、その公転軌道が楕円であることに気付く。
展示では、現代のアストロラーベとも言えるAstroArtsのソフト「ステラナビゲーター」を使って、順行・逆行の仕組みをCGを用いて説明してくれる。
また、天動説ではあり得ないはずの「満ちている金星」も、模型を使って確認することができる。
第3章登場人物の等身大パネル - 日本科学未来館
第3章登場人物の等身大パネル
じつはネット配信で第3章の冒頭まで見ているところで、この先の展示でネタバレされることを危惧し、ドームシアターの予約時間も迫っていたので、この先のパネル展示は読み飛ばしてしまった😓
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活版印刷 - 日本科学未来館
活版印刷
活版印刷でを使って自分のイニシャルをスタンプする体験コーナーがある。
TOPPANホールディングスの印刷博物館の企画展示「天文学と印刷」で学んだが、科学革命に果たした活版印刷の役割は大きい。この特別展には、印刷博物館も協力している。
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渡部潤一 隕石コレクション - 日本科学未来館
渡部潤一 隕石コレクション
天文解説を監修した国立天文台副台長の渡部潤一 (わたなべ じゅんいち) さんが保有する隕石コレクションが展示されている。渡部さんは、彗星を中心に太陽系構造の進化を研究テーマとしている。
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日本の宇宙探査 - 日本科学未来館
日本の宇宙探査
最後にエンディングアニメーションを見て、「地動説研究ノートの回答とキャラクターシールをもらって展示場から外に出る。
そこには、天文に生涯を捧げた研究者たちの年表と、日本の宇宙開発のパネルが展示されていた。
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7階から下を見下ろす - 日本科学未来館
7階から下を見下ろす
1985年(昭和60年)1月に打ち上げられ、日本で初めて太陽周回軌道に乗った「さきがけ」にはじまり、月周回軌道に乗り超高精細の月面写真を送り続けた「かぐや」、小惑星のサンプルリターンという前人未踏の目標を達成した「はやぶさ」など、個性的な探査機が並んでいる。
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Geo-Cosmos ジオ・コスモス

7階建ての吹き抜けに浮かぶ名物の「Geo-Cosmos (ジオ・コスモス) 」は、直径6.5メートル。200万分の1スケールの映像地球儀だ。
Geo-Cosmos ジオ・コスモス - 日本科学未来館
Geo-Cosmos ジオ・コスモス
2011年度の創立10周年を記念し、それまで約90万個だったLEDから、約1万枚の有機ELパネルを使い1000万画素を達成。2022年(令和4年)4月にリニューアルした。HDRの対応、広色域化され、より複雑な明るさや色彩の表現が可能となった。また、フレームレートも従来の約2倍となっている。
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未来の地層 - 日本科学未来館
未来の地層
1日4回、「未来の地層」と題して、地球の誕生から現在までを振り返り、私たち人間が地球の歴史に残していくものをラップミュージックにのせて伝える映像作品が上映される。
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Geo-Cosmos ジオ・コスモス - 日本科学未来館
Geo-Cosmos ジオ・コスモス
この他、世界で日々発生する地震を可視化した「世界の地震」、水・雪氷の循環や地表面温度といった人工衛星による観測データや、民族や言語などに関する統計データなどを使用した「Into the diverse world 多様な世界へ」、データをもとに地球のさまざまな側面を描きだす「ワールドプロセッサー」など、毎日複数の映像作品が上映されている。
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ドームシアターガイア

ドームシアターガイア - 日本科学未来館
ドームシアターガイア
6階に入口があるドームシアターガイアには、2009年(平成21年)1月に日本初、全天周で4K×4Kという超高精細立体視映像システム「Atmos」を導入し、2025年(令和7年)3月にアップグレードした MEGASTAR-II Cosmos と連動したオリジナルのプログラムを上映している。
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ドームシアターガイア - 日本科学未来館
ドームシアターガイア
この日は、3Dドーム映像作品「バースデイ ~宇宙とわたしをつなぐもの~」を見た。星間物質が口の中に入ってくるような3D映像の迫力に驚いた。
出口は7階になる。
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スマートコーヒースタンド「root C」

スマートコーヒースタンド「root C」 - 日本科学未来館
スマートコーヒースタンド「root C」
7階には、スマホアプリから時間を指定して注文すると、挽き立て・淹れ立ての本格コーヒーを提供してくれるスマートコーヒースタンド「root C」が設置されている。
この他、展望ラウンジレストラン「CAFETERIA BLUE」や、自販機コーナーがある。
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常設展

H-IIAロケットのエンジン「LE-7A」 - 日本科学未来館
H-IIAロケットのエンジン「LE-7A」
環境対策のため館内でペットボトル品は販売していない。ミネラルウォーターが金属製ボトルに入っているのは、やりすぎではないかと思うのだが‥‥。

5階の常設展「世界をさぐる」に入ると、国産H-IIAロケットの第1段のエンジン「LE-7A」が展示されている。全高3.4メートル、最大径1.8メートル、重量1.7トン、推力1,074 kNの液体燃料エンジンだ。2001年(平成13年)8月にH-IIAロケット試験機1号機が打ち上げられてから48機すべてで、LE-7Aを起因とする打ち上げ失敗は発生しておらず、高い信頼性をみせている。
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スーパーカミオカンデ - 日本科学未来館
スーパーカミオカンデ
5階の常設展「世界をさぐる」に入ると、岐阜県・神岡の地下 1,000メートルにある「スーパーカミオカンデ」の 10分の1模型がある。スーパーカミオカンデは、宇宙から飛来するニュートリノを観測する装置で、模型の中に入って、ニュートリノをとらえるセンサーが壁や床にずらりと並んだ様子を体験できる。
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20インチ径光電子増倍管 - 日本科学未来館
20インチ径光電子増倍管
ニュートリノを検知するのは、直径20インチの光電子増倍管だ。
直径39.3メートル、高さ41.4メートルの巨大水槽は、約5万トンの超純水で満たされており、水槽の壁一面に20インチ径光電子増倍管が11,200本も並んでおり、ニュートリノや陽子崩壊の様子を観測する。
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宇宙からやって来る放射線=宇宙線の通った道が煙のような線となって現れる「霧箱」と呼ばれる装置をのぞき込むと、現れては消える宇宙線の痕跡を肉眼で観察できる。
霧箱 - 日本科学未来館
霧箱
これが霧箱だ。
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老いパーク - 日本科学未来館
老いパーク
老いパークは、老化による目・耳・運動器・脳の変化を疑似体験できる。これらの老化現象が起こるメカニズムや対処法、将来身近になるかもしれないサポート技術などを知りながら、あなた自身の老い方を考えていく。

もっとも、既に初老に達している私たち夫婦は、実感として体験しているわけだが‥‥😓 この日は、なぜか多くの高校生が集まっていた。

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常設展 - 日本科学未来館
常設展
3階から5階まで、Geo-Cosmos ジオ・コスモスをめぐるように架けられているスロープには、1957年(昭和32年)以降、毎年、宇宙に滞在した飛行士の顔写真が貼ってある。
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1957年の宇宙飛行士 - 日本科学未来館
1957年(昭和32年)の宇宙飛行士
1957年(昭和32年)11月3日にソ連が打ち上げた人工衛星スプートニク2号には、気密構造の区画が設けられ、ライカという名の犬が乗っていた。 👉アニメ「月とライカと吸血姫
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1961年の宇宙飛行士 - 日本科学未来館
1961年(昭和36年)の宇宙飛行士
1961年(昭和36年)4月12日には、ソ連の宇宙船ボストーク1号は世界初の宇宙飛行士ユーリ・ガガーリンを乗せて地球を1周した。
アメリカは同年5月5日にフリーダム7を打ち上げ、弾道飛行ながら、アラン・シェパードが世界2番目の宇宙飛行士になった。
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産総研臨海副都心センター

産総研臨海副都心センター - 日本科学未来館
産総研臨海副都心センター
日本科学未来館に隣接して、産業技術総合研究所(産総研)の臨海副都心センターがあり、グリーン社会・デジタル社会実現に向けた国際的な融合研究拠点を目指して、先進的研究開発を推進するとともに、首都圏を中心に全国的かつ国際的な視点で、共同研究、技術移転、人材育成等の産学官連携活動を展開している。
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テレコムセンター駅

テレコムセンター駅 - 日本科学未来館
テレコムセンター駅
最寄駅は、ゆりかもめ「テレコムセンター駅」(東京都江東区青海2-5-8)だ。1995年(平成7年)11月に開業。駅に直結するテレコムセンターは、高さ99メートルの21階建てで、1996年(平成8年)1月に竣工した。臨海副都心における情報通信基盤機能を担う施設で、塩害対策のために全面的にフッ素樹脂焼付塗アルミカーテンウォールを施しており、それが電子部品のような外観になった。
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交通アクセス

【鉄道】
  • 新交通ゆりかもめ「船の科学館駅」下車、徒歩5分
  • 新交通ゆりかもめ「テレコムセンター駅」下車、徒歩4分
  • 東京臨海高速鉄道りんかい線「東京テレポート駅」下車、徒歩15分
 関連

参考サイト

近隣の情報

(この項おわり)
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