
自然に帰れ
ルソーの思想を「自然に帰れ」という言葉で表すことがあるが、彼の著作の中にこの言葉は登場しない。
ルソーは、格差の原因が体制にあることを指摘した。その結果、著作が発禁処分となり、逮捕状が出たわけだが、だからといって、彼は、世の中を自然の原始的な状態に戻せと主張したわけではない。自然とは、人間が生まれながらにして備えている善性のことである。
ルソーは、格差の原因が体制にあることを指摘した。その結果、著作が発禁処分となり、逮捕状が出たわけだが、だからといって、彼は、世の中を自然の原始的な状態に戻せと主張したわけではない。自然とは、人間が生まれながらにして備えている善性のことである。
この時代の世界
主な著作
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社会契約論 | ||
著者 | J-J.ルソー/桑原 武夫/前川 貞次郎 | ||
出版社 | 岩波書店 | ||
サイズ | 文庫 | ||
発売日 | 1954年12月25日頃 | ||
価格 | 935円(税込) | ||
ISBN | 9784003362334 | ||
これはもっとも徹底的な人民主権論を説いた書物である。国家は個々人が互いに結合して、自由と平等を最大限に確保するために契約することによって成立する。ルソー(1712-78)はこの立場から既成の国家観をくつがえし、革命的な民主主義の思想を提示した。フランス革命の導火線となった近代デモクラシーの先駆的宣言の書。 | |||
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エミール(上) | ||
著者 | ルソー,J-J./今野 一雄 | ||
出版社 | 岩波書店 | ||
サイズ | 文庫 | ||
発売日 | 1962年05月16日頃 | ||
価格 | 1,430円(税込) | ||
ISBN | 9784003362211 | ||
「万物をつくる者の手をはなれるときすべてはよいものであるが、人間の手にうつるとすべてが悪くなる」という冒頭の言葉が示すように、ルソー(1712-78)一流の自然礼讃、人為排斥の哲学を教育論として展開した書。ある教師がエミールという一人の平凡な人間を、誕生から結婚まで、自然という偉大な教師の指示に従って、いかに導いてゆくかを小説の形式で述べてゆく。 | |||
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エミール(中) | ||
著者 | ルソー,J-J./今野 一雄 | ||
出版社 | 岩波書店 | ||
サイズ | 文庫 | ||
発売日 | 1963年07月16日頃 | ||
価格 | 1,353円(税込) | ||
ISBN | 9784003362228 | ||
人間は立派な者として生まれるが社会が彼を堕落させる、という根本命題に立って理想的な自然教育の原理を述べたこの書物に、ルソーは自らの哲学・宗教・教育・道徳・社会観の一切を盛りこんだ。本巻は、その哲学篇で、ルソーの感情主義哲学を率直に吐露したものとして殊のほか有名な「サヴォワ助任司祭の信仰告白」を含む第四篇を収める。 | |||
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エミール(下) | ||
著者 | ルソー,J-J./今野 一雄 | ||
出版社 | 岩波書店 | ||
サイズ | 文庫 | ||
発売日 | 1964年07月16日頃 | ||
価格 | 1,177円(税込) | ||
ISBN | 9784003362235 | ||
自然と社会との対立や、自然の優位についてルソーがその処女論文「学問芸術論」以来一貫して主張してきた考えを教育論において全面的に展開した著作。エミールなる人間の教育方法とともに、その妻たるべき少女ソフィーの教育をも加えて、小説形式で述べた教育思想史上不朽の古典。巻末にルソーがスケッチ風に自画像を描いた「マルゼルブへの手紙」を収録。 | |||
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人間不平等起源論 | ||
著者 | ルソー,J-J./本田 喜代治/平岡 昇 | ||
出版社 | 岩波書店 | ||
サイズ | 文庫 | ||
発売日 | 1972年03月16日頃 | ||
価格 | 1,001円(税込) | ||
ISBN | 9784003362327 | ||
かつて人間は不平等のほとんど存在せぬ自然状態にあったが、歴史的な進歩という頽落の過程をへてついには「徳なき名誉、知恵なき理性、幸福なき快楽」だけをもつ存在に堕する。それが専制社会における人間の悲惨なのだ、とルソー(1712-78)は論じ、同時代の社会と文化を痛烈に批判した。いまも現代人に根元的な思索をうながしてやまぬ書。 | |||
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孤独な散歩者の夢想 | ||
著者 | ルソー | ||
出版社 | 新潮社 | ||
サイズ | 文庫 | ||
発売日 | 2006年07月 | ||
価格 | 605円(税込) | ||
ISBN | 9784102007013 | ||
十八世紀以降の文学と哲学はルソーの影響を無視しては考えられない。しかし彼の晩年はまったく孤独であった。人生の長い路のはずれに来て、この孤独な散歩者は立ちどまる。彼はうしろを振返り、また目前にせまる暗闇のほうに眼をやる。そして左右にひらけている美しい夕暮れの景色に眺めいる。-自由な想念の世界で、自らの生涯を省みながら、断片的につづった十の哲学的な夢想。 | |||
(この項おわり)
ルソーはスイスに逃れるが、ジュネーブでも両書は発禁処分となった。
ルソーは愛人との間に子供を5人もうけたが、すべて孤児院に捨てている。
人間的には問題の多い人物であるが、1770年に自伝『告白』(懺悔録)を書いて過ちを告白した。ところが期待した反応がなかったので、1778年に自伝的随筆『孤独な散歩者の夢想』を書いている。