
天王星
ウィリアム・ハーシェル

ウィリアム・ハーシェル
1752年、ハーシェルは、父が勤めているドイツ・ハノーヴァーの軍楽隊のオーボエ奏者として入団する。1757年、激化する七年戦争の難を逃れるため、短期間で英語を身につけ、イギリスへ渡り、フレデリック・ウィリアム・ハーシェルと名乗るようになった。このとき同行した妹のカロライン・ハーシェルは、後に天体観測の助手を務めることになる。

1766年には、バースの礼拝堂でオルガン奏者として迎えられ、演奏家、歌手、作曲家としての活動を展開する。後期バロック音楽の流れをくんで作曲した交響曲や協奏曲は数百に及び、当時のイギリスではバッハをしのぐ人気があったという。

1766年には、バースの礼拝堂でオルガン奏者として迎えられ、演奏家、歌手、作曲家としての活動を展開する。後期バロック音楽の流れをくんで作曲した交響曲や協奏曲は数百に及び、当時のイギリスではバッハをしのぐ人気があったという。

40フィート望遠鏡
ハーシェルが学んだテキスト『和声学、音楽の哲学』の著者スミスは、天文学や光学にも造詣が深く、ハーシェルは自分の手で組み立てた望遠鏡で星を眺めてみたいという思いに駆られ、天体望遠鏡の自作を始める。
ついにはグリニッジ天文台の望遠鏡の性能を上回る反射望遠鏡を製作し、1781年に天王星を発見することになる。
ついにはグリニッジ天文台の望遠鏡の性能を上回る反射望遠鏡を製作し、1781年に天王星を発見することになる。

ジョージ3世
ハーシェルの反射望遠鏡を使って天王星を見た国王ジョージ3世は、彼を王室天文官として召し抱え、ハーシェルは天体観測に専念できるようになる。
1789年、国王からの資金援助を受けたハーシェルは、口径1.2メートル、全長12メートルという世界最大の反射望遠鏡(40フィート望遠鏡)を完成させる。これを使って、2,500の星雲と800あまりの二重性を発見し、恒星天文学の基礎を築いた。
1789年、国王からの資金援助を受けたハーシェルは、口径1.2メートル、全長12メートルという世界最大の反射望遠鏡(40フィート望遠鏡)を完成させる。これを使って、2,500の星雲と800あまりの二重性を発見し、恒星天文学の基礎を築いた。

ハーシェルの宇宙
ハーシェルは恒星の固有運動を研究史、太陽系が宇宙空間の中を運動していることに初めて気づいた。さらに、天の川銀河が円盤状に分布していることも明らかにし、その直径は6,000光年と算定した。

ウィリアム、キャロライン兄妹
それは、現在分かっている天の川銀河の20分の1のサイズだが、太陽系から外へ目を向けたハーシェルの想像力はとどまることを知らず、惑星や太陽には生物が住んでおり、独自の文明が存在すると考えていた。

晩年、摂政皇太子(後のジョージ4世)からナイトに叙せられた。
1822年、ハーシェルは84年の生涯を閉じた。奇しくも、自らが発見した天王星の公転周期と同じ年数であった。

晩年、摂政皇太子(後のジョージ4世)からナイトに叙せられた。
1822年、ハーシェルは84年の生涯を閉じた。奇しくも、自らが発見した天王星の公転周期と同じ年数であった。
キャロライン・ハーシェル

キャロライン・ハーシェル
ハーシェルの観測助手を務めたのが、妹のキャロライン・ハーシェルだ。
1772年、イギリスのウィリアムの元へ移り住み、兄の音楽と天体観測の両方の仕事を手伝った。ソプラノ歌手でもあり、兄の合唱隊のレッスンを引き受けたりした。
1787年には、ジョージ3世から助手としての報酬を得るようになり、イギリスで科学的な仕事で公的な報酬を得た最初の女性となった。
自らも天体観測を行い、3つの星雲、8つの彗星を発見し、彗星を発見した最初の女性となった。1797年には、フラムスティードの星図に記載されていない561の恒星を含む星表を発表した。
1772年、イギリスのウィリアムの元へ移り住み、兄の音楽と天体観測の両方の仕事を手伝った。ソプラノ歌手でもあり、兄の合唱隊のレッスンを引き受けたりした。
1787年には、ジョージ3世から助手としての報酬を得るようになり、イギリスで科学的な仕事で公的な報酬を得た最初の女性となった。
自らも天体観測を行い、3つの星雲、8つの彗星を発見し、彗星を発見した最初の女性となった。1797年には、フラムスティードの星図に記載されていない561の恒星を含む星表を発表した。
兄が死去するとドイツに戻り、1828年にはウィリアムが1800年以降に発見した2,500の星雲のカタログを完成させた。1828年に王立天文学会ゴールドメダルを受賞し、1835年にメアリー・サマヴィルとともに王立天文学会初の女性会員に選ばれた。1846年にはプロイセン王から科学金賞が授けられた。
1848年、97年の生涯を閉じた。
1848年、97年の生涯を閉じた。
参考書籍
![]() |
女性と天文学 | ||
著者 | ヤエル・ナゼ/北井 礼三郎/頼 順子 | ||
出版社 | 恒星社厚生閣 | ||
サイズ | 単行本 | ||
発売日 | 2021年11月18日頃 | ||
価格 | 2,750円(税込) | ||
ISBN | 9784769916734 | ||
「世界を変えた天文学者」といえば、誰を思い浮かべるでしょうか。コペルニクス、ガリレオ、ケプラー、それともハッブル?みな男性ですね。地球から天体までの距離の測定を可能にする法則を発見したのも、現在も使われる恒星の分類法を確立したのも、太陽大気組成は水素とヘリウムが主体であると指摘したのも、数多くの彗星や小惑星を発見したのも、そしてパルサーを発見したのも、実は、すべて女性なのです!男性優位の研究環境の中、宇宙を愛し、研究を深め、天文学の発展に寄与した女性天文学者たちの業績とその生涯。 | |||
この時代の世界
(この項おわり)
発見当初、ハーシェルはそれが彗星だと考えていたが、観測が進むにつれ、新天体は土星のはるか彼方にある大型の惑星であることが分かった。
ハーシェルは、イギリス国王ジョージ3世にちなみ、新惑星を「ジョージ星」と名付けた。しかしこの名前は国際的に普及せず、ヨハン・ボーデが提案したウラヌスという名前が広まった。これを中国語訳したのが「天王星」である。