Ryzen シリーズ
No. | アーキ テクチャ |
CPU型番 | コア数 | プロセス ルール |
トランジ スタ数 |
内蔵GPU |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | Zen | Ryzen 7 1800X, Ryzen 5 1600X, Ryzen 3 1300Xなど | 4~16 | 14nm | 約48億 | Radeon Vega |
2 | Zen+ | Ryzen 7 2700X, Ryzen 5 2600X, Ryzen 3 2300Xなど | 4~32 | 12nm | 約48億 | Radeon Vega |
3 | Zen 2 | Ryzen 9 3950X, Ryzen 7 3800X, Ryzen 5 3600X, Ryzen 3 3300Xなど | 4~64 | 7nm | 約60億 | Radeon Vega |
4 | Ryzen 9 4900H, Ryzen 7 4800H, Ryzen 5 4600H, Ryzen 3 4300Uなど | 4~16 | ||||
5 | Zen 3 | Ryzen 9 5950X, Ryzen 7 5800X, Ryzen 5 5600X, Ryuzen 3 5400Uなど | 4~64 | 7nm | 約107億 | Radeon Vega |
6 | Zen 3+ | Ryzen 9 6980X, Ryzen 7 6800H, Ryzen 5 6600Sなど | 6~8 | 6nm | --- | Radeon RDNA2 |
7 | Zen 4 Zen 4c |
Ryzen 9 7950X, Ryzen 7 7700X, Ryzen 5 7600X Ryzen 7 8700G, Ryzen 5 8600Gなど |
6~16 | 5~4nm | --- | Radeon RDNA2×2 Radeon RDNA3 |
8 | Zen 5 | Ryzen 9 9950X, Ryzen 7 9700X, Ryzen 5 9600X | 6~16 | 5~3nm | --- | Radeon RDNA3.5 |
Zen アーキテクチャ
Zen マイクロアーキテクチャは、ライバルの Intel Core i プロセッサに対抗するため、Core i向けに最適化されているソフトウェアでもパフォーマンスを発揮できるように、シングルスレッド性能を大幅に向上させると同時に、マルチスレッディング機能(SMT)を採用した。そのため、これまでの Bulldozer マイクロアーキテクチャを捨て、完全新設計となっている。
Zen では、x64命令(CICS命令)を内部RISC命令の Micro-Opに変換する。クロックあたり最大6個のMicro-Opを内部演算ユニットに対して発行可能であり、これは Bulldozer の1.5倍になる。
分岐予測ユニット Branch Predictionは、分岐予測が外れた場合のペナルティが3クロックと、Bulldozer の6分の1以下になった。さらに、Neural Networkが分岐先を予測する。
内部レジスタは168個になり、Bulldozer の1.75倍となった。整数と浮動小数点それぞれのパイプラインにおいて,整数命令なら84個,浮動小数点命令なら96個まで溜め込んだうえでのスケジューリングを行える。
Zen では、x64命令(CICS命令)を内部RISC命令の Micro-Opに変換する。クロックあたり最大6個のMicro-Opを内部演算ユニットに対して発行可能であり、これは Bulldozer の1.5倍になる。
分岐予測ユニット Branch Predictionは、分岐予測が外れた場合のペナルティが3クロックと、Bulldozer の6分の1以下になった。さらに、Neural Networkが分岐先を予測する。
内部レジスタは168個になり、Bulldozer の1.75倍となった。整数と浮動小数点それぞれのパイプラインにおいて,整数命令なら84個,浮動小数点命令なら96個まで溜め込んだうえでのスケジューリングを行える。
Zen では4コア8スレッドを1つの構成単位として、CCX(Core Complex)という名が与えられている。Ryzen 7 は8コアであり、2基のCCXが1パッケージになっている。CCX同士は、Infinity Fabric という内部バスで接続される。
Ryzen 7 では,CPUコアあたりのL1データキャッシュが容量32KB、L2キャッシュが容量512KB、そしてCCX全体で共有する総容量16MBのL3キャッシュが搭載される。
Ryzen 7 では,CPUコアあたりのL1データキャッシュが容量32KB、L2キャッシュが容量512KB、そしてCCX全体で共有する総容量16MBのL3キャッシュが搭載される。
プロセスルールが14nmと微細化されたこと、内部にある1300個以上のセンサーからの情報を元にプロセッサを制御することによって、同じ電力消費と熱出力でより多くの演算が可能になった。
Zen+ アーキテクチャ
2018年(平成30年)4月に発表された Ryzen 2000 シリーズに搭載されている Zen+ マイクロアーキテクチャは、プロセスルールを12nmに変更することで動作クロックが向上し、自動オーバークロック機能 Precision Boost 2 に対応した。Ryzen Threadripper 2990WX では、Ryzen 7のダイ4基を1つにパッケージングすることで、32コア・64スレッドという構成にしている。
Zen 2 アーキテクチャ
2019年(令和元年)7月に発表された Ryzen 3000シリーズに搭載されている Zen 2 マイクロアーキテクチャは、CPU(CCD;CPU Complex Die)とI/O(cIOD;Client I/O Die)に分離することで、スケーラビリティと製造コストが向上した。
CCDのプロセスルールは7nmで、最大8コア16スレッド。動小数点SIMD演算ユニットを256ビットに拡張し、分岐予測機構にTAGE分岐予測を加えてテーブルが大型化した。
cIODは12nmで、DDR4-3200をサポートしたメモリコントローラ、PCI Express 4.0コントローラなどを集積する。
CCDのプロセスルールは7nmで、最大8コア16スレッド。動小数点SIMD演算ユニットを256ビットに拡張し、分岐予測機構にTAGE分岐予測を加えてテーブルが大型化した。
cIODは12nmで、DDR4-3200をサポートしたメモリコントローラ、PCI Express 4.0コントローラなどを集積する。
Ryzen 9 シリーズが新設され、メインストリーム向けで初めてとなる12コア24スレッドの Ryzen 9 3950X がリリースされた。
Zen 2は、インテルの第10世代Core iプロセッサ(Comet Lake)より低い消費電力でより高いパフォーマンスを実現できる。2020年(令和2年)1月にグラフィック性能が向上した Ryzen 4000シリーズが登場する。
Zen 2は、インテルの第10世代Core iプロセッサ(Comet Lake)より低い消費電力でより高いパフォーマンスを実現できる。2020年(令和2年)1月にグラフィック性能が向上した Ryzen 4000シリーズが登場する。
Zen 3 アーキテクチャ
2020年(令和2年)10月に発表された Ryzen 5000シリーズに搭載されている Zen 3 マイクロアーキテクチャは、4コアで構成されていたCCX(Core Complex)が8コア構成に変更され、CCD内のCPUコアすべてでL3キャッシュを共有する仕様となった。これにより、同じクロックで19%のIPCの向上を実現している。
Zen 3+ アーキテクチャ
2022年(令和4年)1月に発表された Ryzen 6000シリーズに搭載されている Zen 3+ マイクロアーキテクチャは、プロセスルールを6nmに変更し、対応メモリーはLPDDR5/DDR5となっている。
GPUはVegaからRDNA2へと刷新され、メディアエンジンや出力パイプラインが強化され、AV1のハードウェアデコード、HDMI 2.1やDisplayPort 2.0への対応が行われている。
GPUはVegaからRDNA2へと刷新され、メディアエンジンや出力パイプラインが強化され、AV1のハードウェアデコード、HDMI 2.1やDisplayPort 2.0への対応が行われている。
Zen 4 アーキテクチャ
2022年(令和4年)8月に発表された Ryzen 7000シリーズに搭載されている Zen 4 マイクロアーキテクチャは、プロセスルールを5nmに微細化し、Zen 3に比べてIPCを平均13%向上させ、最大5.7GHz駆動をサポートすることで、シングルスレッド性能を最大29%向上した。Intelが開発した機械学習用命令 AVX-512もサポートする。
競合するIntelの第12世代Coreプロセッサと比べると、CPUコアとL3キャッシュの合計面積は約半分で、電力効率は最大で47%向上するという。
競合するIntelの第12世代Coreプロセッサと比べると、CPUコアとL3キャッシュの合計面積は約半分で、電力効率は最大で47%向上するという。
CPUソケットがLGAタイプの「Socket AM5」に一新された。
チップセットは、ハイエンド向けに AMD X670E、AMD X670 の2種類、メインストリーム向けに AMD B650E、AMD B650 の2種類が用意された。EがつくチップセットはPCI Express 5.0接続のSSDに対応できる。
チップセットは、ハイエンド向けに AMD X670E、AMD X670 の2種類、メインストリーム向けに AMD B650E、AMD B650 の2種類が用意された。EがつくチップセットはPCI Express 5.0接続のSSDに対応できる。
2024年(令和6年)1月に、デスクトップ向けの Ryzen 8000シリーズの販売が始まった。Ryzen 7000シリーズとの違いは、
- 製造プロセスが5nmから4nmに微細化
- 上位2製品にNPU(AIアクセラレーター)を搭載
- 下位2製品にZen4cコア採用
- 内蔵GPUをRDNA2×2コアからRDNA3にグレードアップ
- L3キャッシュが半分に
Zen 5 アーキテクチャ
2024年(令和6年)6月に発表された Ryzen 9000シリーズに搭載されている Zen 5 マイクロアーキテクチャは、分岐予測の高性能化や実行パイプラインの拡張、並列実行時のウインドウサイズ拡大といった大幅な改良が行われているという。前世代の Zen 4 と比べ、命令デコーダーや命令・データキャッシュの帯域幅、そして AVX-512命令セットのスループットが、いずれも2倍に向上しているという。
あらたに搭載したデュアルパイプフェッチは、高度な分岐予測(Advanced Branch Prediction)機能と組み合わせることで、レイテンシーを低減し、精度を犠牲にすることなくデータの流れと処理速度を向上させることを実現した。
整数演算パフォーマンスも改善されており、8ワイドのディスパッチ/リタイアシステムを備えた。ALUスケジューラによって制御される6つのALUと3つの乗算器や、より大きな実行ウィンドウも含まれている。
Zen 4 よりもデータ帯域幅が広く、4サイクルのロードにも対応できる48KBの12ウェイL1データキャッシュが搭載されている。Zen 4 と比べると、L1キャッシュで利用できる最大帯域幅が2倍となり、浮動小数点ユニッ2倍になっている。
Zen 4でも AVX-512命令セットをサポートしていたが、これは互いに連携して動作する2つの256ビットデータパスを使用している。Zen 5 では、完全な512ビットAIデータパスと、6つのパイプラインを備えた2サイクルレイテンシーFADDが導入された。
これらの改良により、Zen 5 は Zen 4 と比較してIPCが平均16%向上したという。
整数演算パフォーマンスも改善されており、8ワイドのディスパッチ/リタイアシステムを備えた。ALUスケジューラによって制御される6つのALUと3つの乗算器や、より大きな実行ウィンドウも含まれている。
Zen 4 よりもデータ帯域幅が広く、4サイクルのロードにも対応できる48KBの12ウェイL1データキャッシュが搭載されている。Zen 4 と比べると、L1キャッシュで利用できる最大帯域幅が2倍となり、浮動小数点ユニッ2倍になっている。
Zen 4でも AVX-512命令セットをサポートしていたが、これは互いに連携して動作する2つの256ビットデータパスを使用している。Zen 5 では、完全な512ビットAIデータパスと、6つのパイプラインを備えた2サイクルレイテンシーFADDが導入された。
これらの改良により、Zen 5 は Zen 4 と比較してIPCが平均16%向上したという。
また、8コアの Ryzen 7 9700X と6コアの Ryzen 5 9600Xは,TDPが65Wになっている。Ryzen 7000シリーズの8コア・6コアモデルは105Wだったので、消費電力が低く抑えられている。
16コアのフラッグシップ Ryzen 9 9950Xは、ゲーム性能において現行世代で最強を誇る Core i9-14900K を上回るとしている。
16コアのフラッグシップ Ryzen 9 9950Xは、ゲーム性能において現行世代で最強を誇る Core i9-14900K を上回るとしている。
参考サイト
- Zenコア・アーキテクチャー:AMD
- Core i シリーズは10年以上のロングラン製品:ぱふぅ家のホームページ
- Apple M1 チップは Mac用マイクロプロセッサ:ぱふぅ家のホームページ
- PHPで対数グラフ(ムーアの法則)を描く:ぱふぅ家のホームページ
- C++ で CPU情報を取得:ぱふぅ家のホームページ
CPUの歴史
発表年 | メーカー | CPU名 | ビット数 | 最大クロック |
---|---|---|---|---|
1971年 | インテル | 4004 | 4bit | 750KHz |
1974年 | インテル | 8080 | 8bit | 3.125MHz |
1975年 | モステクノロジー | MOS 6502 | 8bit | 3MHz |
1976年 | ザイログ | Z80 | 8bit | 20MHz |
1978年 | インテル | 8086 | 16bit | 10MHz |
1979年 | モトローラ | MC6809 | 8bit | 2MHz |
1979年 | ザイログ | Z8000 | 16bit | 10MHz |
1980年 | モトローラ | MC68000 | 16bit | 20MHz |
1984年 | インテル | 80286 | 16bit | 12MHz |
1985年 | インテル | 80386 | 32bit | 40MHz |
1985年 | サン・マイクロシステムズ | SPARC | 32bit | 150MHz |
1986年 | MIPS | R2000 | 32bit | 15MHz |
1987年 | ザイログ | Z280 | 16bit | 12MHz |
1987年 | モトローラ | MC68030 | 32bit | 50MHz |
1989年 | インテル | 80486 | 32bit | 100MHz |
1991年 | MIPS | R4000 | 64bit | 200MHz |
1990年 | モトローラ | MC68040 | 32bit | 40MHz |
1993年 | インテル | Pentium | 32bit | 300MHz |
1994年 | IBM, モトローラ | PowerPC 603 | 32bit | 300MHz |
1995年 | サイリックス | Cyrix Cx5x86 | 32bit | 133MHz |
1995年 | AMD | Am5x86 | 32bit | 160MHz |
1995年 | サン・マイクロシステムズ | UltraSPARC | 64bit | 200MHz |
1999年 | IBM, モトローラ | PowerPC G4 | 32bit | 1.67GHz |
1999年 | AMD | Athlon | 32bit | 2.33GHz |
2000年 | インテル | Pentium 4 | 32bit | 3.8GHz |
2001年 | インテル | Itanium | 64bit | 800MHz |
2003年 | AMD | Opteron | 64bit | 3.5GHz |
2003年 | インテル | Pentium M | 32bit | 2.26GHz |
2006年 | SCE,ソニー,IBM,東芝 | Cell | 64bit | 3.2GHz |
2006年 | インテル | Core Duo | 32bit | 2.33GHz |
2006年 | インテル | Core 2 Duo | 64bit | 3.33GHz |
2008年 | インテル | Core i9/i7/i5/i3 | 64bit | 5.8GHz |
2017年 | AMD | Ryzen | 64bit | 5.7GHz |
2020年 | Apple | M1 | 64bit | 3.49GHz |
2023年 | インテル | Core Ultra 9 / 7 / 5 | 64bit | 5.1GHz |
(この項おわり)
2022年(令和4年)9月現在、Zen 4 アーキテクチャを搭載する Ryzen 7000シリーズが発売されている。