Core 2 Duo の最初の製品は、開発コード Merom と呼ばれ、次の3点が大きな改良ポイントである。
- パイプライン強化(同時4命令実行)
- Macro Fusion実装(最大5命令実行)
- 内部64ビット処理(EM64T)
内部アーキテクチャとしては高速化が期待されたが、実際には、OSやアプリケーションの最適化を待たねばならず、また、64ビット処理は、とりあえず64ビット化したというレベルであり、2008年(平成20年)8月に購入した MacBook 上ではそれほど体感速度が上がったとは感じられなかった。
Core 2 Extremeから登場
インテルの Core 2 Duo への意気込みを表すかのように、最初に単品販売が始まったのは最上位製品の Core 2 Extreme X6800(最大動作クロック数2.93GHz、FSB 1066MHz、2コア、VT対応)で、国内販売価格は13万円前後という高級品だ。
ベンチマーク性能では、前世代の Core Duo T2400(1.83GHz、2コア)の約3倍、Pentium 4(3.83GHz)の6倍以上。ライバルの AMD Athlon 64 FX-62(2.8GHz、2コア)の1.1倍という結果を残している。
ベンチマーク性能では、前世代の Core Duo T2400(1.83GHz、2コア)の約3倍、Pentium 4(3.83GHz)の6倍以上。ライバルの AMD Athlon 64 FX-62(2.8GHz、2コア)の1.1倍という結果を残している。
Core 2 Duo の最初のコアとなった Conroeは、ALU(整数演算ユニット)を1コアあたり3ユニットを備える。無制限で同時4命令実行できるわけではないが、NetBustの2ユニットを上回る。
x86系CPUは、x86命令を内部命令μOPs(マイクロプログラム)に変換(デコード)して実行する。これは、複雑なx86命令をRISCライクなμOPsに置き換えることで、アウトオブオーダー型の命令スケジューリングが容易になるからだ。
一方で、多くのμOPsが生成され、CPU内部リソースが浪費されるというデメリットがあった。
そこで、Pentium M 以降、命令によってはμOPsに分解せず、パイプラインで扱えるようにした。インテルは、これをμOPs Fusionと呼んだ。
x86系CPUは、x86命令を内部命令μOPs(マイクロプログラム)に変換(デコード)して実行する。これは、複雑なx86命令をRISCライクなμOPsに置き換えることで、アウトオブオーダー型の命令スケジューリングが容易になるからだ。
一方で、多くのμOPsが生成され、CPU内部リソースが浪費されるというデメリットがあった。
そこで、Pentium M 以降、命令によってはμOPsに分解せず、パイプラインで扱えるようにした。インテルは、これをμOPs Fusionと呼んだ。
Conroe では、さらに、複数のx86命令を1個の複合内部命令 MacroOPs として実行することができるようになった。
こうした改良により、Conroe のパイプラインは14ステージと、NetBurst の半分に抑えることができた。これによりクロック数を上げることは難しくなった代わりに、省電力かつコア数を増やすことで、NetBurst 以上の性能を発揮できるようになった。
こうした改良により、Conroe のパイプラインは14ステージと、NetBurst の半分に抑えることができた。これによりクロック数を上げることは難しくなった代わりに、省電力かつコア数を増やすことで、NetBurst 以上の性能を発揮できるようになった。
パイプライン制御では、最大96個の命令をインフライト制御できるようになった。これは前世代の Yonah の64個に比べて50%増えたことになる。パイプラインが2倍ある NetBurst の126個よりは少ないものの、スケジューラがかなり改良されているとみられる。
SSE SIMD(Single Instruction, Multiple Data)演算ユニットも大幅に拡充された。4個の単精度(32ビット)浮動小数点データで構成される128ビットSIMDデータに対して、1サイクルスループットで1回の積和演算を実行できるようになった。これは、1クロック・サイクルにつき8個の浮動小数点演算ができることを意味する。これは Yonah や NetBurst の2倍になる。
消費電力では、Conroe のTDPが65Wと、NetBurst の半分に下がった。モバイル版の Merom は35Wと、Yonah の31Wから10%ほどのアップ。
第2世代 Penryn では、プロセスルールを45nmに微細化し、クロック数は Core 2 Quad QX9770 で3.2GHzに達した。
消費電力では、Conroe のTDPが65Wと、NetBurst の半分に下がった。モバイル版の Merom は35Wと、Yonah の31Wから10%ほどのアップ。
第2世代 Penryn では、プロセスルールを45nmに微細化し、クロック数は Core 2 Quad QX9770 で3.2GHzに達した。
Conroe は最初からメニーコアを意識した設計になっている。
2つのダイを2つのFSBで結ぶ Kentsfield は合計4コア構成となり、Core 2 Quad を呼ばれた。ソケットはLGA775で、Core 2 Duo と共通。これは第2世代 Yorkfield となり、その後の Core i5 シリーズへ受け継がれる。
2つのダイを2つのFSBで結ぶ Kentsfield は合計4コア構成となり、Core 2 Quad を呼ばれた。ソケットはLGA775で、Core 2 Duo と共通。これは第2世代 Yorkfield となり、その後の Core i5 シリーズへ受け継がれる。
また、高周波動作の選別品は Core 2 Extreme として、その後の Core i7 シリーズへ受け継がれる。
メインストリームの Core2 Duo は Core i3 シリーズへ、廉価版として登場した Allendale や Wolfdale-L は、そのまま Pentium Dual-Core や Celeron として販売されてゆく。
メインストリームの Core2 Duo は Core i3 シリーズへ、廉価版として登場した Allendale や Wolfdale-L は、そのまま Pentium Dual-Core や Celeron として販売されてゆく。
主要スペック
項目 | 仕様 |
---|---|
メーカー | インテル |
発売開始 | 2006年8月 |
コアプロセッサ | Conroe Kentsfield Allendale Merom Yorkfield Penryn Wolfdale |
プロセスルール | 65~45nm |
トランジスタ数 | 1.7~4.1億 |
コア数 | 2 |
スレッド数 | 2 |
動作周波数 | 1.06~3.33GHz |
データバス | 64ビット |
1次キャッシュ | 命令:32KB×2 データ:32KB×2 |
2次キャッシュ | 6MB |
ソケット | LGA 775 Socket M Socket P Micro-FCBGA |
命令セット | x86 x64 |
物理メモリ | 4GB |
TDP | 10~65W |
CPUの歴史
発表年 | メーカー | CPU名 | ビット数 | 最大クロック |
---|---|---|---|---|
1971年 | インテル | 4004 | 4bit | 750KHz |
1974年 | インテル | 8080 | 8bit | 3.125MHz |
1975年 | モステクノロジー | MOS 6502 | 8bit | 3MHz |
1976年 | ザイログ | Z80 | 8bit | 20MHz |
1978年 | インテル | 8086 | 16bit | 10MHz |
1979年 | モトローラ | MC6809 | 8bit | 2MHz |
1979年 | ザイログ | Z8000 | 16bit | 10MHz |
1980年 | モトローラ | MC68000 | 16bit | 20MHz |
1984年 | インテル | 80286 | 16bit | 12MHz |
1985年 | インテル | 80386 | 32bit | 40MHz |
1985年 | サン・マイクロシステムズ | SPARC | 32bit | 150MHz |
1986年 | MIPS | R2000 | 32bit | 15MHz |
1987年 | ザイログ | Z280 | 16bit | 12MHz |
1987年 | モトローラ | MC68030 | 32bit | 50MHz |
1989年 | インテル | 80486 | 32bit | 100MHz |
1991年 | MIPS | R4000 | 64bit | 200MHz |
1990年 | モトローラ | MC68040 | 32bit | 40MHz |
1993年 | インテル | Pentium | 32bit | 300MHz |
1994年 | IBM, モトローラ | PowerPC 603 | 32bit | 300MHz |
1995年 | サイリックス | Cyrix Cx5x86 | 32bit | 133MHz |
1995年 | AMD | Am5x86 | 32bit | 160MHz |
1995年 | サン・マイクロシステムズ | UltraSPARC | 64bit | 200MHz |
1999年 | IBM, モトローラ | PowerPC G4 | 32bit | 1.67GHz |
1999年 | AMD | Athlon | 32bit | 2.33GHz |
2000年 | インテル | Pentium 4 | 32bit | 3.8GHz |
2001年 | インテル | Itanium | 64bit | 800MHz |
2003年 | AMD | Opteron | 64bit | 3.5GHz |
2003年 | インテル | Pentium M | 32bit | 2.26GHz |
2006年 | SCE,ソニー,IBM,東芝 | Cell | 64bit | 3.2GHz |
2006年 | インテル | Core Duo | 32bit | 2.33GHz |
2006年 | インテル | Core 2 Duo | 64bit | 3.33GHz |
2008年 | インテル | Core i9/i7/i5/i3 | 64bit | 5.8GHz |
2017年 | AMD | Ryzen | 64bit | 5.7GHz |
2020年 | Apple | M1 | 64bit | 3.49GHz |
2023年 | インテル | Core Ultra 9 / 7 / 5 | 64bit | 5.1GHz |
参考サイト
- インテル Core2 Duo プロセッサー E8400:Intel
- Z80 で機械語を学ぶ:ぱふぅ家のホームページ
- 8086は x86アーキテクチャの元祖:ぱふぅ家のホームページ
- Intel 80286 は MS-DOS上の最速CPU:ぱふぅ家のホームページ
- Zilog Z280 は画期的だが商業的に失敗したCPU:ぱふぅ家のホームページ
- Intel 80486はワイヤードロジックで高速化:ぱふぅ家のホームページ
- Pentiumはインテルの5番目のCPU:ぱふぅ家のホームページ
- PowerPC G4 は AltiVecを搭載:ぱふぅ家のホームページ0
- 「Pentium M」はPentium 4を駆逐する?:ぱふぅ家のホームページ
- Intel Core Duo はモバイル向け初のデュアルコア:ぱふぅ家のホームページ
- Intel Core 2 Duo は 64ビットCPU:ぱふぅ家のホームページ
- Core i シリーズは10年以上のロングラン製品:ぱふぅ家のホームページ
- Apple M1 チップは Mac用マイクロプロセッサ:ぱふぅ家のホームページ
- PHPで対数グラフ(ムーアの法則)を描く:ぱふぅ家のホームページ
(この項おわり)
Core Duo に引き続き、イスラエルのIntel Design Center (IDC) が開発を担当した。