Core™ Ultraシリーズ
アーキテクチャ | CPU型番 | Pコア数 | Pコア 最大周波数 (GHz) |
Eコア数 | LP-E コア数 |
グラフィック | プロセス ルール |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | Meteor Lake | 105UL~185H | 2~6 | 4.2~5.1 | 4~8 | 2 | Arc Graphics Intel Graphics |
Intel 4 |
2 | Lunar Lake モバイル向け |
200V | 4 | 3.5~5.1 | - | 4 | Arc 130V~140V | TSMC N3B |
2 | Arrow Lake-S AI PC向け |
200S | 6~8 | 3.7~5.7 | 16 | - | Xe LPG Graphics | TSMC N3B |
シリーズ1:Meteor Lake
Core™ Ultra シリーズは、コンピューティング(CPU)、グラフィックス(GPU)、SoC(従来のチップセットの役割などを担当)、I/O(Thunderbolt 4などのインタフェースを搭載)のタイルに分割し、Foveros と呼ぶ3D技術を使って1つのパッケージに集約している。タイル間のデータ転送速度は非常に高速で、電力効率も高い。コンピューティング・タイルはインテル初となるプロセスルール Intel 4 を採用した。
また、グラフィックス・タイルは台湾TSMCの TSMC N5、SoCタイルとI/Oタイルは同じくTSMCの TSMC N6 という異なるプロセス技術を組み合わせており、高性能な製品を低コストで実現できた。また、タイル単位での機能のアップグレードも期待できる。
コンピューティングを担当する Pコア と Eコア は、Intel 4 の採用により電力効率が向上した。
SoCタイルはチップセットの役割を担い、AI推論エンジン NPU と LP-Eコア(低電力Eコア)を搭載する。Eコアでも性能を持て余すシーンが多いことから、まず消費電力の小さい LP-Eコア に処理を担当させ、能力不足であれば、Eコア、Pコアの順に処理を移していくことで、消費電力を低減する。
コンピューティングを担当する Pコア と Eコア は、Intel 4 の採用により電力効率が向上した。
SoCタイルはチップセットの役割を担い、AI推論エンジン NPU と LP-Eコア(低電力Eコア)を搭載する。Eコアでも性能を持て余すシーンが多いことから、まず消費電力の小さい LP-Eコア に処理を担当させ、能力不足であれば、Eコア、Pコアの順に処理を移していくことで、消費電力を低減する。
また、これまでGPUに搭載されていた動画エンコードやデコードを担うメディアエンジンと、映像出力関連を制御するディスプレイエンジンも SoCタイルに搭載し、ネット配信動画くらいであれば、コンピューティング・タイルとグラフィックス・タイルを動かさなくても再生できる。
さらに、SATA、USB、LAN、オーディオ機能なども SoCタイルに搭載する。
グラフィックス・タイルには、ゲーマー向けグラフィックスボードに採用されている「Xe-HPG」アーキテクチャーをベースに、レイトレーシング機能を搭載するなど機能も充実させた「Xe-LPG」アーキテクチャー(LPGはLow Power Graphicsの略)を採用した Arc Graphics が搭載されている。
I/Oタイルには、PCIe Gen5やThunderbolt 4などの高速インタフェース類を搭載する。
SoCタイルに搭載する NPU(Neural network Processing Unit)は、CPUよりも低消費電力で高速のAI推論を実行できるプロセッサだ。
Core™ Ultra の NPU には、MACアレイ(行列演算器)とDSP(Digital Signal Processor)のSHAVE(Streaming Hybrid Architecture Vector Engine)などで構成された2つのNeural Compute Engineが内蔵されており、インテルのAI開発キット「OpenVINO」のAPIを介して利用できる。
さらに、SATA、USB、LAN、オーディオ機能なども SoCタイルに搭載する。
グラフィックス・タイルには、ゲーマー向けグラフィックスボードに採用されている「Xe-HPG」アーキテクチャーをベースに、レイトレーシング機能を搭載するなど機能も充実させた「Xe-LPG」アーキテクチャー(LPGはLow Power Graphicsの略)を採用した Arc Graphics が搭載されている。
I/Oタイルには、PCIe Gen5やThunderbolt 4などの高速インタフェース類を搭載する。
SoCタイルに搭載する NPU(Neural network Processing Unit)は、CPUよりも低消費電力で高速のAI推論を実行できるプロセッサだ。
Core™ Ultra の NPU には、MACアレイ(行列演算器)とDSP(Digital Signal Processor)のSHAVE(Streaming Hybrid Architecture Vector Engine)などで構成された2つのNeural Compute Engineが内蔵されており、インテルのAI開発キット「OpenVINO」のAPIを介して利用できる。
なお、2024年(令和6年)1月にリリースされたUシリーズ(3桁の型番の末尾にUがつくもの)は、Core™ Ultra ブランドを冠しているものの、廉価モバイルデバイス向けに販売するもので、第13世代Core iプロセッサー Raptor Lakeを搭載するもので、NPUやLP-Eコアは搭載せず、グラフィックもIntel Grraphicsである。
シリーズ2:Lunar Lake (モバイル向け)
2024年(令和6年)9月3日、インテルはモバイル向けの新型SoC「Intel Core Ultra Mobile プロセッサ(シリーズ2)」(開発コード名:Lunar Lake)を発表した。型番は Core Ultra 200V シリーズ。
Core Ultra 200V シリーズは、いずれも4基のPコア(開発コード名:Lion Cove)と4基のEコア(開発コード名:Skymont)の8コア8スレッドで動作する。
Core Ultra 200V シリーズは、いずれも4基のPコア(開発コード名:Lion Cove)と4基のEコア(開発コード名:Skymont)の8コア8スレッドで動作する。
後者はCore Ultraプロセッサ シリーズ1(開発コード名:Meteor Lake)のLP Eコア(低消費電力Eコア)をベースに改良を施してパフォーマンスの向上が図られている。
ハイパースレッディング(マルチスレッド)機構は廃止された。これは、Pコアをマルチスレッド対応させるよりも、非対応にすることで余裕ができたリソースを活用してLPEコアを増やした方が消費電力あたりの波トーマンス(ワッパ)が向上するという考えに基づく。
実際、パッケージの消費電力を17Wにそろえて比較すると、Lunar Lake は、Meteor Lake (シリーズ1)の16コア22スレッドモデル(Pコア6基12スレッド+Eコア8基8スレッド+LP Eコア2基2スレッド)よりも性能がよくなるという。
32GBまたは16GBのLPDDR5Xのメモリを一体化することで、パッケージサイズの小型化と省電力化/性能強化、長時間のバッテリー駆動を実現した。LPDDR5X-8533規格のメモリが128bitで接続されており、理論上の最大アクセス速度は毎秒約136GBとなる。
内蔵GPUは、レイトレーシングユニットを8基に増やし、行列演算を行うXMXエンジンを搭載し、アーキテクチャが Xe2(開発コード名:Battlemage)に刷新された。
Intel Arcシリーズ(Xe/Xe2アーキテクチャ)のGPUは、Xeコアと呼ばれるGPUコアが、複数基のベクトル演算エンジン「XVE(Xe Vector Engine)」を内包する構成となっている。上位モデルに搭載されるArc 140VではXeコア(SIMD16)は8基なので、XVEは計128基搭載されていることになる。
計算上では約4.2TFLOPSの性能を有し、Xbox Series S の約4TFLOPSを超え、プレイステーション4 Pro の約4.3TFLOPSに迫る値となる。
メディアエンジン(ビデオプロセッサ)回りも進化している。H.264(MP4)やH.265(HEVC)は当然のこと、採用事例が増えているAV1のエンコード/デコードに加え、次世代コーデックである「H.266(VCC)」のデコードもサポートしている。
Core Ultraプロセッサ(シリーズ1)で省かれた推論アクセラレータ XMX(Xe Matrix Engine)が復活した。INT8演算時における理論性能値は、XVEによるDP4a演算と、XMXによる演算の合算で67TOPS(1秒当たり67兆回)とされている。
Xe2アーキテクチャのGPUコアでは、ピーク時で67TOPSのAI処理性能を確保。CPUコアでもVNNI系やAVX系命令セットを活用することで、ピーク時で5TOPSのAI処理性能を得られる。さらに、Core Ultra 200V プロセッサでは、Core Ultraプロセッサ(シリーズ1)よりも世代の新しい推論アクセラレータ NPU4 が搭載されており、5基搭載モデルでは40TOPS、6基搭載モデルでは47~48TOPSのピーク処理性能を備えている。
NPUのピーク性能は、4月にMicrosoftが発表した「新しいAI PC(Copilot+ PC)」の性能要件である「40TOPS以上」を満たしている。
ハイパースレッディング(マルチスレッド)機構は廃止された。これは、Pコアをマルチスレッド対応させるよりも、非対応にすることで余裕ができたリソースを活用してLPEコアを増やした方が消費電力あたりの波トーマンス(ワッパ)が向上するという考えに基づく。
実際、パッケージの消費電力を17Wにそろえて比較すると、Lunar Lake は、Meteor Lake (シリーズ1)の16コア22スレッドモデル(Pコア6基12スレッド+Eコア8基8スレッド+LP Eコア2基2スレッド)よりも性能がよくなるという。
32GBまたは16GBのLPDDR5Xのメモリを一体化することで、パッケージサイズの小型化と省電力化/性能強化、長時間のバッテリー駆動を実現した。LPDDR5X-8533規格のメモリが128bitで接続されており、理論上の最大アクセス速度は毎秒約136GBとなる。
内蔵GPUは、レイトレーシングユニットを8基に増やし、行列演算を行うXMXエンジンを搭載し、アーキテクチャが Xe2(開発コード名:Battlemage)に刷新された。
Intel Arcシリーズ(Xe/Xe2アーキテクチャ)のGPUは、Xeコアと呼ばれるGPUコアが、複数基のベクトル演算エンジン「XVE(Xe Vector Engine)」を内包する構成となっている。上位モデルに搭載されるArc 140VではXeコア(SIMD16)は8基なので、XVEは計128基搭載されていることになる。
計算上では約4.2TFLOPSの性能を有し、Xbox Series S の約4TFLOPSを超え、プレイステーション4 Pro の約4.3TFLOPSに迫る値となる。
メディアエンジン(ビデオプロセッサ)回りも進化している。H.264(MP4)やH.265(HEVC)は当然のこと、採用事例が増えているAV1のエンコード/デコードに加え、次世代コーデックである「H.266(VCC)」のデコードもサポートしている。
Core Ultraプロセッサ(シリーズ1)で省かれた推論アクセラレータ XMX(Xe Matrix Engine)が復活した。INT8演算時における理論性能値は、XVEによるDP4a演算と、XMXによる演算の合算で67TOPS(1秒当たり67兆回)とされている。
Xe2アーキテクチャのGPUコアでは、ピーク時で67TOPSのAI処理性能を確保。CPUコアでもVNNI系やAVX系命令セットを活用することで、ピーク時で5TOPSのAI処理性能を得られる。さらに、Core Ultra 200V プロセッサでは、Core Ultraプロセッサ(シリーズ1)よりも世代の新しい推論アクセラレータ NPU4 が搭載されており、5基搭載モデルでは40TOPS、6基搭載モデルでは47~48TOPSのピーク処理性能を備えている。
NPUのピーク性能は、4月にMicrosoftが発表した「新しいAI PC(Copilot+ PC)」の性能要件である「40TOPS以上」を満たしている。
シリーズ2:Arrow Lake-S (AI PC向け)
2024年(令和6年)10月10日、インテルはデスクトップAI PC向けの新型プロセッサ「Intel Core Ultra 200S」(開発コード名:Arrow Lake-S)を発表した。
次世代Performance-cores(Pコア)を最大8個、次世代Efficient-cores(Eコア)を最大16個搭載しており、マルチスレッドのワークロードで前世代製品より最大14%のパフォーマンス向上を実現したとという。
次世代Performance-cores(Pコア)を最大8個、次世代Efficient-cores(Eコア)を最大16個搭載しており、マルチスレッドのワークロードで前世代製品より最大14%のパフォーマンス向上を実現したとという。
また、Intel製のデスクトップPC向けのCPUとしては初めて,AIアクセラレータである NPU(Neural Processing Unit)を搭載した。
これまでのモデルと比較して大幅に消費電力が抑えられており、日常的なアプリケーションの利用時の消費電力を最大58%削減し、ゲーム時のシステム消費電力も最大165W削減したという。
主要な競合プロセッサと比較し、AI対応のクリエイター向けアプリケーションで最大50%の性能向上を実現したという。
NPU の性能は13TOPSだが、Microsoftが提唱するAI処理対応PC「Copilot+ PC」の条件である40 TOPSには遠く及ばない。GPUは8TOPSで、CPUが15TOPSの最上位「Core Ultra 9 285K」の場合、プロセッサ全体で36TOPSとなる。
対応ソケットおよびチップセットが変更になった。ソケットは新型の LGA1851 で、チップセットは Intel 800シリーズだ。従来のソケットとは互換性がない。
Intel 800シリーズは、最大20レーンのPCI Express 5.0バス、最大10基のUSB 3.2ポートを搭載できるほか、標準でThunderbolt 4、Wi-Fi 6E 、Bluetooth 5.3に対応。オプションでThunderbolt 5やWi-Fi 7、Bluetooth 5.4などへのアップデートに対応する。
これまでのモデルと比較して大幅に消費電力が抑えられており、日常的なアプリケーションの利用時の消費電力を最大58%削減し、ゲーム時のシステム消費電力も最大165W削減したという。
主要な競合プロセッサと比較し、AI対応のクリエイター向けアプリケーションで最大50%の性能向上を実現したという。
NPU の性能は13TOPSだが、Microsoftが提唱するAI処理対応PC「Copilot+ PC」の条件である40 TOPSには遠く及ばない。GPUは8TOPSで、CPUが15TOPSの最上位「Core Ultra 9 285K」の場合、プロセッサ全体で36TOPSとなる。
対応ソケットおよびチップセットが変更になった。ソケットは新型の LGA1851 で、チップセットは Intel 800シリーズだ。従来のソケットとは互換性がない。
Intel 800シリーズは、最大20レーンのPCI Express 5.0バス、最大10基のUSB 3.2ポートを搭載できるほか、標準でThunderbolt 4、Wi-Fi 6E 、Bluetooth 5.3に対応。オプションでThunderbolt 5やWi-Fi 7、Bluetooth 5.4などへのアップデートに対応する。
CPUの歴史
発表年 | メーカー | CPU名 | ビット数 | 最大クロック |
---|---|---|---|---|
1971年 | インテル | 4004 | 4bit | 750KHz |
1974年 | インテル | 8080 | 8bit | 3.125MHz |
1975年 | モステクノロジー | MOS 6502 | 8bit | 3MHz |
1976年 | ザイログ | Z80 | 8bit | 20MHz |
1978年 | インテル | 8086 | 16bit | 10MHz |
1979年 | モトローラ | MC6809 | 8bit | 2MHz |
1979年 | ザイログ | Z8000 | 16bit | 10MHz |
1980年 | モトローラ | MC68000 | 16bit | 20MHz |
1984年 | インテル | 80286 | 16bit | 12MHz |
1985年 | インテル | 80386 | 32bit | 40MHz |
1985年 | サン・マイクロシステムズ | SPARC | 32bit | 150MHz |
1986年 | MIPS | R2000 | 32bit | 15MHz |
1987年 | ザイログ | Z280 | 16bit | 12MHz |
1987年 | モトローラ | MC68030 | 32bit | 50MHz |
1989年 | インテル | 80486 | 32bit | 100MHz |
1991年 | MIPS | R4000 | 64bit | 200MHz |
1990年 | モトローラ | MC68040 | 32bit | 40MHz |
1993年 | インテル | Pentium | 32bit | 300MHz |
1994年 | IBM, モトローラ | PowerPC 603 | 32bit | 300MHz |
1995年 | サイリックス | Cyrix Cx5x86 | 32bit | 133MHz |
1995年 | AMD | Am5x86 | 32bit | 160MHz |
1995年 | サン・マイクロシステムズ | UltraSPARC | 64bit | 200MHz |
1999年 | IBM, モトローラ | PowerPC G4 | 32bit | 1.67GHz |
1999年 | AMD | Athlon | 32bit | 2.33GHz |
2000年 | インテル | Pentium 4 | 32bit | 3.8GHz |
2001年 | インテル | Itanium | 64bit | 800MHz |
2003年 | AMD | Opteron | 64bit | 3.5GHz |
2003年 | インテル | Pentium M | 32bit | 2.26GHz |
2006年 | SCE,ソニー,IBM,東芝 | Cell | 64bit | 3.2GHz |
2006年 | インテル | Core Duo | 32bit | 2.33GHz |
2006年 | インテル | Core 2 Duo | 64bit | 3.33GHz |
2008年 | インテル | Core i9/i7/i5/i3 | 64bit | 5.8GHz |
2017年 | AMD | Ryzen | 64bit | 5.7GHz |
2020年 | Apple | M1 | 64bit | 3.49GHz |
2023年 | インテル | Core Ultra 9 / 7 / 5 | 64bit | 5.1GHz |
参考サイト
- インテル® Core™ Ultra プロセッサー・ファミリー
- Apple M1/M2/M3/M4 は Apple独自マイクロプロセッサ:ぱふぅ家のホームページ
- AMD Ryzenはインテル製CPUを超えるパフォーマンス:ぱふぅ家のホームページ
- Core i シリーズは15年近く続いたロングラン製品:ぱふぅ家のホームページ
- Intel Core 2 Duo は 64ビットCPU:ぱふぅ家のホームページ
- Intel Core Duo はモバイル向け初のデュアルコア:ぱふぅ家のホームページ
- 「Pentium M」はPentium 4を駆逐する?:ぱふぅ家のホームページ
- PHPで対数グラフ(ムーアの法則)を描く:ぱふぅ家のホームページ
- C++ で CPU情報を取得:ぱふぅ家のホームページ
(この項おわり)
2024年(令和6年)5月現在、シリーズ1にあたる Meteor Lakeが販売中だ。