
Intel Core Duo T2400

デスクトップ向けデュアルコアCPUの Pentium D とは異なり、2Mバイトの2次キャッシュメモリを2つのコアで共有するスマート・キャッシュ機能や、電力効率を上げるためのディーパー・スリープ機能、2つのコアが1つのFSBコントローラを共有するなど、さまざまな新機能が搭載されている。

MacBook
2006年(平成18年)に購入した MacBook が Intel Core Duo T2400を搭載している。それまで PowerPC G4 を使っていたので、体感速度でも数倍に高速化された。
開発の背景

Pentium DのL2キャッシュ
クライアントPC市場におけるノートPCの比率が高まっているが、Pentium 4 に搭載された NetBurstマイクロアーキテクチャはモバイル向けには適さない消費電力となってしまった。そこで Pentium Mが開発されたのだが、CPU単体での性能は Pentium 4 に及ばない。そこで、Yonah はデュアルコアを前提とした設計となった。Pentium D とは異なり、2つのコアが1つのFSBコントローラを共有している。

また、初めて Intel VT(Virtualization Technology)を搭載し、仮想OSを構築しやすくなっている。

また、初めて Intel VT(Virtualization Technology)を搭載し、仮想OSを構築しやすくなっている。
低消費電力化

YonahのL2キャッシュ
インテルは、同社のCPU・チップセッット・無線LANモジュールで構成したノートPC向けプラットフォームを Centrino と呼び、そのうちのCPUが Yonah であった。Yonah はデュアルコアでありながら、シングルコアの Pentium M に匹敵する省電力性能を備えている。

まず、インテルはL2キャッシュの電力制御に注目した。
Yonah は Pentium M の2倍にあたる2MバイトのL2キャッシュを内蔵している。トランジスタ数の多いSRAM部分から発生するリーク電流が電力消費を押し上げる。

まず、インテルはL2キャッシュの電力制御に注目した。
Yonah は Pentium M の2倍にあたる2MバイトのL2キャッシュを内蔵している。トランジスタ数の多いSRAM部分から発生するリーク電流が電力消費を押し上げる。

Intel Core Duo T2400
Yonah には、CC0~CC4の5段階のSleep制御があり、最も消費電力が低くなるCC4(Deeper Sleep)では、L2キャッシュが保持できる限界まで電圧を下げる。
さらに、Dynamic Smart Cache Sizing によりL2キャッシュの容量を動的に管理しており、使用していないL2キャッシュ領域をOFFにする。
さらに、キャッシュをメインメモリに書き戻してフラッシュできると、DC4(Enhanced Deeper Sleep)に入り、コアを保持するのに最低限必要な電圧にまで下げることができる。
さらに、Dynamic Smart Cache Sizing によりL2キャッシュの容量を動的に管理しており、使用していないL2キャッシュ領域をOFFにする。
さらに、キャッシュをメインメモリに書き戻してフラッシュできると、DC4(Enhanced Deeper Sleep)に入り、コアを保持するのに最低限必要な電圧にまで下げることができる。

Intel Core Duo コア
これらの電力制御により、Yonah の平均消費電力は前世代の Pentium M 並みに抑えることができた。
主要スペック
項目 | 仕様 |
---|---|
メーカー | インテル |
発売開始 | 2006年1月 |
コアプロセッサ | Yonah |
プロセスルール | 65nm |
トランジスタ数 | 1.5億 |
コア数 | 2 |
動作周波数 | 1.06~2.33GHz |
データバス | 32ビット |
1次キャッシュ | 命令:32KB×2 データ:32KB×2 |
2次キャッシュ | 2MB |
物理メモリ | 4GB |
TDP | 5.5~44W |
CPUの歴史
発表年 | メーカー | CPU名 | ビット数 | 最大クロック |
---|---|---|---|---|
1971年 | インテル | 4004 | 4bit | 750KHz |
1974年 | インテル | 8080 | 8bit | 3.125MHz |
1975年 | モステクノロジー | MOS 6502 | 8bit | 3MHz |
1976年 | ザイログ | Z80 | 8bit | 20MHz |
1978年 | インテル | 8086 | 16bit | 10MHz |
1979年 | モトローラ | MC6809 | 8bit | 2MHz |
1979年 | ザイログ | Z8000 | 16bit | 10MHz |
1980年 | モトローラ | MC68000 | 16bit | 20MHz |
1984年 | インテル | 80286 | 16bit | 12MHz |
1985年 | インテル | 80386 | 32bit | 40MHz |
1985年 | サン・マイクロシステムズ | SPARC | 32bit | 150MHz |
1986年 | MIPS | R2000 | 32bit | 15MHz |
1987年 | ザイログ | Z280 | 16bit | 12MHz |
1987年 | モトローラ | MC68030 | 32bit | 50MHz |
1989年 | インテル | 80486 | 32bit | 100MHz |
1991年 | MIPS | R4000 | 64bit | 200MHz |
1990年 | モトローラ | MC68040 | 32bit | 40MHz |
1993年 | インテル | Pentium | 32bit | 300MHz |
1994年 | IBM, モトローラ | PowerPC 603 | 32bit | 300MHz |
1995年 | サイリックス | Cyrix Cx5x86 | 32bit | 133MHz |
1995年 | AMD | Am5x86 | 32bit | 160MHz |
1995年 | サン・マイクロシステムズ | UltraSPARC | 64bit | 200MHz |
1999年 | IBM, モトローラ | PowerPC G4 | 32bit | 1.67GHz |
1999年 | AMD | Athlon | 32bit | 2.33GHz |
2000年 | インテル | Pentium 4 | 32bit | 3.8GHz |
2001年 | インテル | Itanium | 64bit | 800MHz |
2003年 | AMD | Opteron | 64bit | 3.5GHz |
2003年 | インテル | Pentium M | 32bit | 2.26GHz |
2006年 | SCE,ソニー,IBM,東芝 | Cell | 64bit | 3.2GHz |
2006年 | インテル | Core Duo | 32bit | 2.33GHz |
2006年 | インテル | Core 2 Duo | 64bit | 3.33GHz |
2008年 | インテル | Core i9/i7/i5/i3 | 64bit | 5.8GHz |
2017年 | AMD | Ryzen | 64bit | 5.7GHz |
2020年 | Apple | M1/M2/M3/M4 | 64bit | 3.49GHz |
2023年 | インテル | Core Ultra 9 / 7 / 5 | 64bit | 5.1GHz |
参考サイト
- インテル Core Duo プロセッサー T2400:Intel
- MacBook はコストパフォーマンスに優れたノートPC:ぱふぅ家のホームページ
- Z80 で機械語を学ぶ:ぱふぅ家のホームページ
- 8086は x86アーキテクチャの元祖:ぱふぅ家のホームページ
- Intel 80286 は MS-DOS上の最速CPU:ぱふぅ家のホームページ
- Zilog Z280 は画期的だが商業的に失敗したCPU:ぱふぅ家のホームページ
- Intel 80486はワイヤードロジックで高速化:ぱふぅ家のホームページ
- Pentiumはインテルの5番目のCPU:ぱふぅ家のホームページ
- PowerPC G4 は AltiVecを搭載:ぱふぅ家のホームページ0
- 「Pentium M」はPentium 4を駆逐する?:ぱふぅ家のホームページ
- Intel Core Duo はモバイル向け初のデュアルコア:ぱふぅ家のホームページ
- Intel Core Duo はモバイル向け初のデュアルコア:ぱふぅ家のホームページ
- Intel Core 2 Duo は 64ビットCPU:ぱふぅ家のホームページ
- Core i シリーズは10年以上のロングラン製品:ぱふぅ家のホームページ
- Apple M1 チップは Mac用マイクロプロセッサ:ぱふぅ家のホームページ
- PHPで対数グラフ(ムーアの法則)を描く:ぱふぅ家のホームページ
(この項おわり)
Pentium M と同じく、イスラエルのIntel Design Center (IDC) が開発を担当した。