西暦1516年 - 『ユートピア』の刊行

イギリスの制度や社会を批判
『ユートピア』1518年版
『ユートピア』1518年版
イギリスの法律家トマス・モアは、1516年に『ユートピア』を執筆する。

1509年に来訪したエラスムスが『愚神礼讃』を執筆したことや、アメリカ大陸を探検したアメリゴ・ヴェスプッチの著作に刺激を受け、『ユートピア』を執筆した。翌1517年、マルティン・ルター95ヶ条の論題を発表するが、モアはカトリック教会による平和主義と社会正義を求めた。
トマス・モア
トマス・モア
ユートピア』は、モアがギリシア語から造語したもので、「どこにもない国」という意味である。

ユートピアでは、人は6時間しか働かず、余暇を教養を高めることに充てることができ、僧とか貴族は存在せず、誰もが満ち足りた生活のできるものという設定で、当時のイギリスの制度や社会を批判した。
また、イングランドの地主や長老がフランドルとの羊毛取引のために農場を囲い込んで羊を飼い、村落共同体を破壊し、農民たちを放逐するエンクロージャーについて、「羊が人間を食べている」と風刺した。
ヘンリー8世
ヘンリー8世
1515年からヘンリー8世に仕えていたトマス・モアは、1521年にはナイトに叙せられ、1529年には官僚で最高位の大法官に就任した。

だが、ヘンリー8世が離婚問題をめぐってカトリック支配から離脱すると、熱心なカトリック信徒であったモアとの間に溝がうまれ、1532年、大法官を辞任する。しかし、1534年、国王をイングランド国教会の長とする首長法が成立すると、モアは大逆罪としてロンドン塔に幽閉、1535年に処刑された。

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参考書籍

表紙 ユートピア
著者 トマス・モーア/平井正穂
出版社 岩波書店
サイズ 文庫
発売日 2011年12月
価格 799円(税込)
rakuten
ISBN 9784003220214
表題の「ユートピア」とは「どこにも無い」という意味のトマス・モア(1478-1535)の造語である。モアが描き出したこの理想国は自由と規律をかねそなえた共和国で、国民は人間の自然な姿を愛し「戦争でえられた名誉ほど不名誉なものはない」と考えている。社会思想史の第一級の古典であるだけでなく、読みものとしても十分に面白い。
 
表紙 エラスムス=トマス・モア往復書簡
著者 デシデリウス・エラスムス/トマス・モーア
出版社 岩波書店
サイズ 文庫
発売日 2015年06月
価格 1,166円(税込)
rakuten
ISBN 9784003361238
『痴愚神礼讃』のエラスムスと『ユートピア』のトマス・モアー。その固い友情がのちに伝説化されるまでになった二人の往復書簡全五十通に、十六世紀ヨーロッパにおける知識人の交流・活動の様子や政局を読む。ルネサンスと宗教改革を内側から語る貴重な証言。
 
(この項おわり)
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