西暦1987年 - パソコン「X68000」発売

ホビーパソコンの決定版
シャープ X68000
シャープ X68000
1987年(昭和62年)3月28日に、シャープはパーソナルコンピュータ「X68000」を発売する。同社のパソコン「X1」シリーズの後継機で、日本のホビーパソコンとしては、唯一、モトローラのCPU「MC68000」を採用した。実売価格は40万円前後だったが、コアなファン層をつかみ、1991年(平成3年)までに13万台を販売した。1987年(昭和62年)のグッドデザイン賞を受賞。
MC68000
MC68000
1980年代前半、国内では PC-8800シリーズMSXFM-7FM TOWNSなど、多くのホビーパソコンが登場した。シャープも、MZシリーズX1シリーズという2系統のパソコンを販売していた。しかし、画面サイズは640×400ドット、色数は4,096色、サウンドはFM音源×3チャンネル+PSG音源×3チャンネルであり、何よりもメモリ空間が16ビット機でも1Mバイトという制約があった。
右タワーの基板
右タワーの基板.中央上部にCPUがある
X1シリーズを開発していたシャープのテレビ事業部は、Appleの Macintoshやアーケードゲーム機に使われているモトローラの16ビットCPU「MC68000」に着目した。メモリ空間が16Mバイトと広く、命令体系がシンプルで制御しやすかった。
グラディウス
グラディウス
当時、日本でMC68000を採用したパーソナルコンピュータの前例はなかったが、1985年(昭和60年)5月にコナミが発売したアーケードゲーム「グラディウス」(CPUはMC68000)の完全移植を目指した。1986年(昭和61年)10月のエレクトロニクスショーに参考展示され、グラディウスのデモンストレーションが行われた。
当時のパソコンとしては破格の容量となった1MバイトのVRAM(グラフィックとテキストそれぞれに512Kバイトずつ)、65,536色の多色グラフィックとスプライト機能、FM音源8チャンネル+ADPCM1チャンネル、1MBのメインメモリ(12Mバイトまで拡張可能)という膨大な回路が加わり、開発段階では19インチラック1本分のサイズに膨れあがったという。それをカスタムLSIの開発・導入で小型化し、2本のタワーからなるマンハッタンシェイプに凝縮した。

OSとしてMS-DOSコンパチブルの Human68kを標準搭載し、ビジュアルシェルで操作できるようにした。のちにウィンドウシステム SX-Windowが登場する。
開発環境にも力を入れており、BASICをC言語のように使える X-BASICを標準搭載した。そして、ゲームソフト「グラディウス」を標準添付して発売した。

1989年(平成元年)3月にメモリ2Mバイト標準搭載の X68000 EXPERT、1991年(平成3年)5月に16MHzモードを追加した X68000 XVI、1992年(平成4年)3月に3.5インチFDDを搭載しコンパクト化した X68000 Compact、そして1993年(平成5年)3月にはCPUに MC68EC030(25MHz)を搭載した X68030が登場した。有志によりUNIXが移植されたが、同じ68030を搭載するMacintosh LC IIIの方が安価だったり、家庭用ゲーム機が普及するなどして、X68000シリーズの市場は縮小し、1993年(平成5年)5月に発売された X68030 Compactが最後のモデルとなった。

シャープは、2000年(平成12年)4月にX68000シリーズのOSやBIOSを、2015年(平成27年)1月には回路図が載っているサービスマニュアルを無償公開した。コアなファン層は、こうした情報をもとに、X68000のメンテナンスや改造を続けていった。
PCエンジンミニ、メガドライブミニなどを開発してきた瑞起は、2022年(令和4年)5月に東京ゲームショウで「X68000 Z LIMITED EDITION」のモックアップを展示した。
X6800のスペック
項目 仕様 備考
CPU 日立製HD68HC000
10MHz
CMOS版のMC68000のセカンドソース
FPUとしてMC68881を搭載可能
RAM 1Mバイト 最大12Mバイト
グラフィックVRAM 512Kバイト
256×256または512×512(65,536色)
768×512(16色)表示
512×512ドット(16色)を4プレーン持つことができる
テキストVRAM 512Kバイト
768×512, 512×512, 512×256, 256×256から選択可能
16ドットフォント使用時は半角で96文字×32行表示
スプライト表示 16ドット×16ラインで65,536色中16色、同時表示枚数128枚 VRAMとは独立した16KBの高速SRAMを使用
ROM 基本入出力システムIOCS 512Kバイト
JIS第1/2水準漢字(24×24ドット、16×16ドット、12×12ドット)
ユーザー定義フォント使用可能
サウンド FM音源 (YAHAMA製YM2151)
ADPCM(沖電気製MSM6258)
ステレオ最大8音+モノラル4bitで3.9、5.2、7.8、10.4、15.6kHzの周波数でサンプリング
外部記憶装置 5インチ 2HD×2台 オートローディング
ハードディスク(オプション) 10Mバイト  
ボイスレコーダー クイックディスクドライブ×1 片面64KB、両面使用時128KB
拡張スロット 10MHz 汎用拡張I/Oスロット  
インターフェース アナログRGB
ハードディスク
RS-232C
プリンタ
ジョイステック
マウス
 
OS Human68k MS-DOSコンパチブル, ビジュアルシェル(のちのSX-Window)採用

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参考サイト

  • X68000:コンピュータ博物館
(この項おわり)
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