
日本語ワードプロセッサ「JW-10」

日本語ワードプロセッサ「JW-10」
毎日新聞では、記者の手書き原稿をパンチャが入力し、入力機が吐き出す紙テープを送稿していた。さらに速報性を高めるため、コンピュータを活用した仕組みが検討されていた。しかし、高速化することで誤字が増えてしまう――。
この悩みを、東芝総合研究所の森健一に相談したところ、森は毎日新聞に通い詰め、新聞の製作工程を分析し、手書きより速く書け、持ち運びでき、遠隔地に通信できる製品の開発に的を絞った。

森が製作した試作機は、は、幅45cm、奥行き30cm、高さ18cmのアラッシュケースのような外観で、2,500の漢字とかなを5mm角のマス目に並べ、電子ペンで入力するというものだった。しかし、文字が小さすぎて、「手書きより速く書け」なかた。

次に森は、「かな漢字変換」を思いついた。しかし、日本語には同音異義語が多く、たとえば「こうえん」なら公園、公演、後援‥‥など複数の候補がある。そこで、使用する人の癖に合わせて「学習」させることを思いつく。
森は新入社員の河田勉を京都大学の長尾真(のちの京都大学総長)のもとへ研究留学させ、形態素解析の研究を行わせた。同じ京都大学で文字認識の研究をしていた大学院生の天野真家を東芝へ誘い、3人の開発プロジェクトがスタートした。その後、プログラマの武田公人が加わった。
回路設計と製造は、大型電算機を製造していた青梅工場が担当した。また、オフィスコンピュータ部門でディスプレイやプリンタの開発が進められ、半導体事業部でミニコン用CPU「TOSBAC」をベースにワンチップ化し、漢字ROMが開発された。開発は、東芝の総力を挙げて進められた。

こうして完成したJW-10は、日本語入力モードとして単漢字変換と文節変換、同音異義選択として一括選択と逐次選択の2つのモードを持ち、8万語の日本語辞書を備えていた。扱える漢字はJIS C 6226の6,802文字で、24×24ドットの明朝体で印字することができる。
エディタを備えており、下線や作表、インデントやセンタリング、禁則処理に加え、横書きと縦書きの両方の文書を作成できた。作成した文書は、ハードディスクに200ページ分を、フロッピーディスクに60ページを保存できた。

なお、京都大学の長尾真の研究室は、いまも形態素解析の研究を続けており、1992年(平成4年)には JUMANをリリースした。インターネット検索やAI学習に無くてはならない技術だ。

森が製作した試作機は、は、幅45cm、奥行き30cm、高さ18cmのアラッシュケースのような外観で、2,500の漢字とかなを5mm角のマス目に並べ、電子ペンで入力するというものだった。しかし、文字が小さすぎて、「手書きより速く書け」なかた。

次に森は、「かな漢字変換」を思いついた。しかし、日本語には同音異義語が多く、たとえば「こうえん」なら公園、公演、後援‥‥など複数の候補がある。そこで、使用する人の癖に合わせて「学習」させることを思いつく。
森は新入社員の河田勉を京都大学の長尾真(のちの京都大学総長)のもとへ研究留学させ、形態素解析の研究を行わせた。同じ京都大学で文字認識の研究をしていた大学院生の天野真家を東芝へ誘い、3人の開発プロジェクトがスタートした。その後、プログラマの武田公人が加わった。
回路設計と製造は、大型電算機を製造していた青梅工場が担当した。また、オフィスコンピュータ部門でディスプレイやプリンタの開発が進められ、半導体事業部でミニコン用CPU「TOSBAC」をベースにワンチップ化し、漢字ROMが開発された。開発は、東芝の総力を挙げて進められた。

こうして完成したJW-10は、日本語入力モードとして単漢字変換と文節変換、同音異義選択として一括選択と逐次選択の2つのモードを持ち、8万語の日本語辞書を備えていた。扱える漢字はJIS C 6226の6,802文字で、24×24ドットの明朝体で印字することができる。
エディタを備えており、下線や作表、インデントやセンタリング、禁則処理に加え、横書きと縦書きの両方の文書を作成できた。作成した文書は、ハードディスクに200ページ分を、フロッピーディスクに60ページを保存できた。

なお、京都大学の長尾真の研究室は、いまも形態素解析の研究を続けており、1992年(平成4年)には JUMANをリリースした。インターネット検索やAI学習に無くてはならない技術だ。

シャープ「WD-3000」(書院)
ワードプロセッサという意味では、前年の1977年(昭和52年)5月に、シャープがかな漢字変換機能を搭載したシステムをビジネスショウに参考出品している。しかし、これは製品化されず、1979年(昭和54年)に発売したWD-3000(書院)は、CPUにZ80を採用するなどして295万円と安価に抑えたものの、かな漢字変換機能を搭載しておらず、和文タイプと同じ全文字入力方式となっている。
その後、富士通や沖電気も日本語ワープロを発売し、OA時代が到来する。
その後、富士通や沖電気も日本語ワープロを発売し、OA時代が到来する。
この時代の世界
(この項おわり)
IEEEは、JW-10を「日本語のための最初のワードプロセッサ」としてIEEEマイルストーンに認定した。