Core Ultra シリーズは AIと低消費電力に注力

2023年12月発売開始
Meteor Lakeのパッケージイメージ
Meteor Lakeのパッケージイメージ
2023年(令和5年)12月15日にインテルは、Core i シリーズの第14世代、開発コードネーム「Meteor Lake」で知られる新型プロセッサ [Core Ultra シリーズを発表した。初めて Intel 4 プロセスを採用し、AIエンジンを実装し、4つのタイルで1つのプロセッサを構成するなど、従来の Core i シリーズからアーキテクチャが大幅に刷新されたことから、Core Ultra にブランド名を変更した。

Core Ultra シリーズ

  アーキテクチャ CPU型番 コア総数 製造プロセス 最大クロック 内蔵GPU
1 Meteor Lake Core Ultra 9 185H, Core Ultra 7 165H, Core Ultra 5 135H 14~16 Intel 4 4.5~5.1GHz Intel Arc

第1世代:Meteor Lake

Meteor Lakeのダイ
Meteor Lakeのダイ
Meteor Lakeは、インテルの一般向けCPU製品としては初めて、積層パッケージング技術 Foveros を採用することで、4つのシリコンダイを1つのパッケージに詰め込む Tile Architecture を採用した。4つのシリコンダイは下記の通り。
  1. CPU Tile‥‥高性能コア P-core や高効率コア E-core などのCPUコア
  2. GPU Tile‥‥Xeアーキテクチャに基づくGPUを集積した統合型グラフィックス
  3. I/O Tile‥‥PCI ExpressやThunderboltなどのI/O
  4. SoC Tile‥‥メモリコントローラやAI処理向けアクセラレータ、無線LAN機能など
注目は SoC Tile だ。ここには、CPU Tileとは別に、E-coreの低消費電力版とされる LP E-core を2つ搭載する。これにより、動画再生など低負荷のワークロードならば,CPU Tileを駆動することなく,低消費電力で処理できる 3D Performance Hybrid Architecture を採用した。
また、Intelの一般向けCPUとして初となるAIアクセラレーター Intel AI Boost も搭載している。AI処理に特化したNPUも備えており、最大34TOPSの処理性能を提供する。ローンチ時で既にOpenVINOフレームワークを介してNPU/GPU/CPUに対しシームレスにFP16/INT8の実行が可能なため、競合を大きく引き離した。

あらたに採用した製造プロセス Intel 4 は、EUV露光(極端紫外線露光)により従来の Intel 7 の高性能ロジックライブラリと比較して2倍のエリアスケーリングを達成しつつ、電力効率は20%以上向上したという。
ただし、プロセスルールとしては7nmにとどまっており、他社が4nmへ移行しつつある中、後れを取っている感は否めない。そのため、具体的な数字ではなく、Intel 4 という名称を冠したのだろう。

CPU Tileでは、E-coreは分岐予測の強化、Intel Thread Directorフィードバックの強化、VNNIのようなAI関連命令の新規サポートにより性能向上を図り、前世代からIPC(クロックあたりの命令実行数)が向上した。
P-coreも同様に分岐予測の強化とIntel Thread Directorフィードバックの強化を行なったのほか、バンド幅の拡張により性能が向上した。

GPU Tileでは、Intel ArcベースのGPUを実装しており、Xe LPコアからXeコアとなった。8基のレイトレーシングユニットを内蔵したほか、従来からベクターエンジン/サンプラー/ピクセルバックエンドが33%増加(それぞれ128基、8基、4基)。AV1ビデオのサポートや、AIにおけるINT8推論処理を高速化できるDP4Aエンジンを備え、従来の第13世代Coreと比較して最大で2倍の性能向上を実現したという。

インテルによると、AMDのノートPC用CPU「Ryzen 7 7840U」と比較して、Core Ultra 7 165H は最大79%も電力対性能比で優れるという。これはチャンピオンスコアだろうが、LP E-core が効いているのだとすれば、LP E-core だけで構成されたウルトラモバイル向けのCPUを作ってはどうだろうか。

CPUの歴史

発表年 メーカー CPU名 ビット数 最大クロック
1971年インテル40044bit750KHz
1974年インテル80808bit3.125MHz
1975年モステクノロジーMOS 65028bit3MHz
1976年ザイログZ808bit20MHz
1978年インテル808616bit10MHz
1979年モトローラMC68098bit2MHz
1979年ザイログZ800016bit10MHz
1980年モトローラMC6800016bit20MHz
1984年インテル8028616bit12MHz
1985年インテル8038632bit40MHz
1985年サン・マイクロシステムズSPARC32bit150MHz
1986年MIPSR200032bit15MHz
1987年ザイログZ28016bit12MHz
1987年モトローラMC6803032bit50MHz
1989年インテル8048632bit100MHz
1991年MIPSR400064bit200MHz
1990年モトローラMC6804032bit40MHz
1993年インテルPentium32bit300MHz
1994年IBM, モトローラPowerPC 60332bit300MHz
1995年サイリックスCyrix Cx5x8632bit133MHz
1995年AMDAm5x8632bit160MHz
1995年サン・マイクロシステムズUltraSPARC64bit200MHz
1999年IBM, モトローラPowerPC G432bit1.67GHz
1999年AMDAthlon32bit2.33GHz
2000年インテルPentium 432bit3.8GHz
2001年インテルItanium64bit800MHz
2003年AMDOpteron64bit3.5GHz
2003年インテルPentium M32bit2.26GHz
2006年SCE,ソニー,IBM,東芝Cell64bit3.2GHz
2006年インテルCore Duo32bit2.33GHz
2006年インテルCore 2 Duo64bit3.33GHz
2008年インテルCore i9/i7/i5/i364bit5.8GHz
2017年AMDRyzen64bit5.7GHz
2020年AppleM1/M264bit3.49GHz

参考サイト

(この項おわり)
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