EPSON「HC-88」は持ち運べるパソコン

1987年8月 購入
HC-88
HC-88
エプソンのハンドヘルドコンピュータ「HC-88」を中古で購入した。
ハンドヘルドコンピュータとは、まだ、ラップトップコンピュータやノートPCという名称が無かった時代の呼び名で、持ち運べるサイズの情報端末を指す。
HC-88 の場合、バッテリ動作で、フルキーボードと8行表示のモノクロ液晶を備え、データやプログラムを保存するためのマイクロカセットレコーダも内蔵しており、日本語入出力もできる。
表示を除けば、この頃メインで使っていたパソコン MZ-2500 の機能をそのまま持ち運びすることができた。

目次

バッテリ駆動時間と重量・サイズ

収納したところ = HC-88
収納したところ
写真は収納したところ。カバーや、手持ちレバーが付いている。
バッテリ駆動時間は約2時間。内蔵マイクロカセットレコーダーを頻繁に使うと、当然、駆動時間は短くなる。
1989年(昭和64年)に購入する最初のノートPC「J-3100SS が2.5時間駆動であることを考えると、当時としては、それほど悪い数字ではない。

サイズは294(幅)×216(高さ)×71(奥行き)ミリあり、J-3100SS より専有面積は小さいものの、重量が約2.9kgあり、気軽にその辺で利用できるというわけにはいかない。腿の上に載せるだけで重量感があるし、華奢な喫茶店のテーブルでは安定しない。また、表示が反射型STN液晶であるため、電車内などでは見にくい。
というわけで、じつはバッテリ駆動させるシーンはあまり無かったりする。

CPU:Z80、メモリ

メイン基板 - HC-88
メイン基板
CPUは、MZ-1500MZ-2500 と同じ Z80 である。ただし、クロックが 2.45MHz と、MZ-1500 の7割に満たない。当然、遅い。
RAMは 64KB、ROMは 32KBを搭載しており、Z80パソコンとしては十分だ。バッテリー残量ゼロになってもRAMの内容は保持される。

キーボードと表示

HC-88
HC-88
キーボードはフルキーで、打鍵感がしっかりしている。逆に言うと、しっかり打鍵できるがゆえに、華奢な喫茶店のテーブルでは入力しにくいのである。
表示は、前述の通り、反射型STN液晶(モノクロ)え640×64ドット。テキスト表示に換算すると80桁×8行になる。プログラミングに使うには厳しいサイズだが、日本語入出力ができるので、メモ帳代わりに使うにはちょうどいい。

マイクロカセットレコーダ

マイクロカセットレコーダ - HC-88
マイクロカセットレコーダ
キーボードの上部にマイクロカセットレコーダを内蔵しており、プログラムやデータのセーブ/ロードができる。

BASICとCP/M

HC-88
HC-88
表示領域が狭くプログラミングには厳しいと書いたが、ポケットコンピュータ「PC-1255」に比べたら広いわけで、ちょっとした計算プログラムなら書くことができる。そのためにBASICインタプリタが標準付属していいる。
OSは CP/M バージョン 2.2 を搭載しており、MZ-2500 でコンパイルしたプログラムが動く。サブPCとしての使い方ができた。

RS-232C

インターフェースとして RS-232C を備えており、MZ-2500 とのプログラムやデータの交換に利用した。マイクロカセットでは互換背がなかったため。

BASICで通信プログラムを書いて、RS-232C経由でモデムに接続すればパソコン通信することも可能だったが、前述のように置く場所を選ぶため、まだモバイル通信をすることはなかった。

漢字ROMと辞書ROM

日本語フォントと辞書をROMに収めているいるのは MZ-1500 と同じで、ワープロ専用機並みの日本語入力環境を実現している。
スペック
項目 仕様 コメント
CPU Z80コンパチCMOS
約2.45MHz
 
RAM 64KB 増設不可
ROM 32KB 漢字、辞書を含めると40KB
表示 反射型STN液晶(モノクロ)
半角:80文字×8行(仮想48行)
日本語:30文字×3行
グラフィック480×64ドット
いずれもモノクロ
サウンド BEEP音5オクターブ  
外部記憶装置 マイクロカセットレコーダー  
OS CP/M Ver2.2  
プログラミング言語 BASICインタプリタ  
インターフェース RS-232C  
消費電力 2W  
バッテリ駆動時間 約2時間  
外形寸法(突起部除く) 幅297mm×奥行216mm×高さ71mm  
質量 約2.9kg  

1985~1988年に発売された主なパソコン

メーカー
機種
発売時期
定価
CPU OSなど 主記憶
外部記憶
画像表示
NEC
PC-98XA
1985年5月
57万5千円~
16ビット
80286 8MHz
ROM:N88-BASIC
漢字ROM
FDD:MS-DOS
512~768Kバイト
FDD
別売HDD
1120×750ドット
16色カラー
NEC
PC-9801U
1985年5月
57万5千円~
16ビット
V30 8MHz
ROM:N88-BASIC
漢字ROM
FDD:MS-DOS
128Kバイト
FDD
640×400ドット
8色カラー
富士通
FM-77AV
1985年10月
12万8千円
8ビット
68B09 8MHz
ROM:
F-BASIC
漢字ROM
FDD:OS-9
64~256Kバイト
FDD
640×200ドット
8色カラー
PSG 3音
NEC
PC-98LT
ラップトップ
1986年10月
23万8千円
16ビット
V50 8MHz
ROM:N88-BASIC
漢字ROM
FDD:MS-DOS
384Kバイト
FDD
640×400ドット
2階調
シャープ
X68000
1987年3月
36万9千円~
16ビット
68000 10MHz
FDD:Human68k + SX-Window
X-BASIC
漢字ROM
512Kバイト~
FDD
別売HDD
768×512ドット
16色カラー
PSG 3音 + ADPCM
エプソン
PC-286
1987年3月
35万7千円
16ビット
80286 10MHz
ROM:ROM-BASIC
漢字ROM
FDD:MS-DOS
640Kバイト
FDD
640×400ドット
16色カラー
IBM
IBM PS/55
1987年5月
98万円~
32ビット
386DX 16MHz
FD:JDOS
OS/2
漢字ROM
1Mバイト
FDD
HDD
1024×768ドット
16色カラー
Apple
Macintosh II
1987年9月
75万円
32ビット
68020 16MHz
ROM:
漢字Talk 2.0~
1~8Mバイト
FDD
別売HDD
640×480ドット
256色カラー
NEC
PC-98XL2
1987年9月
98万円~
32ビット
386DX 16MHz
V30 8MHz
FD:MS-DOS
OS/2
漢字ROM
512K~14.5Mバイト
FDD
HDD
1120×750ドット
16色カラー
NEC
PC-9801RA
1988年7月
49万8千円~
32ビット
386DX 16MHz
V30 8MHz
ROM:
N-88BASIC
FD:MS-DOS
OS/2
漢字ROM
1.6~14.6Mバイト
FDD
HDD
640×400ドット
16色カラー
エプソン
PC-386
1989年1月
59万8千円~
32ビット
386DX 20MHz
ROM:
ROM-BASIC
FD:MS-DOS
漢字ROM
1.6~14.6Mバイト
FDD
HDD
640×400ドット
8色カラー

参考書籍

表紙 ザイログZ80伝説
著者 鈴木哲哉
出版社 ラトルズ
サイズ 単行本
発売日 2020年08月24日頃
価格 2,398円(税込)
ISBN 9784899774815
1970年代後半に登場して黎明期のパソコンにことごとく採用されたザイログのZ80。 それからおよそ半世紀が経過した現在もなお製造中の超ロングセラーです。本書は、この間に発展した開発環境、周辺部品、プリント基板製造サービスなどを活用し、当時のマニアが苦心惨憺した製作をサラッとやってのけます。 加えて、ザイログの元技術者が語った開発の経緯、出荷数量などの統計資料、著者の取材メモに書かれた面白エピソードを散りばめてあります。 Z80の構造を説明するくだりでいちいち世間話が付いて回るうざい技術解説書、あるいは、電子工作の過程まで読まされる前代未聞のノンフィクションとして、どうぞお楽しみください。
 

ぱふぅ家の歴代パソコン

ぱふぅ家の歴代パソコン
(この項おわり)
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