目次
CPU Z80B
CPUは8ビットの Z80B――当時、ほとんどのパソコンが4MHzのZ80Aを搭載するなか、Z80Bは6MHz動作を可能としていた。クロック性能で単純に1.5倍速いことになる。
シャープ・パソコンのクリーン設計を引き継ぎつつ、CPUをZ80Bに強化。RAMはバンク切り替えで最大256KBまで搭載できる。SuperMZ の名前の通り、当時の8ビット・パソコンとしては最強のハード性能を備えていた。
シャープ・パソコンのクリーン設計を引き継ぎつつ、CPUをZ80Bに強化。RAMはバンク切り替えで最大256KBまで搭載できる。SuperMZ の名前の通り、当時の8ビット・パソコンとしては最強のハード性能を備えていた。
アドレス管理
Z80シリーズは最大64KBのアドレスしか管理できない。
MZ-2500シリーズでは、8KB×64=512KBの物理アドレス空間の任意の8つをCPUのアドレス空間に割り当てるバンクメモリ回路を備えている。
これにより、メインRAMは最大256KB、GVRAM(グラフィック)は最大128KB、CGRAM(テキスト)は14KB、IPL-ROMは32KBという、16ビット・パソコンなみのアドレス管理能力を備えている。
この結果、当時は16ビットのPC-9801 シリーズにしかできなかった640×400ドット・16色グラフィック表示や、40文字×20行の漢字表示を可能にした。また、320×200/400ドットながら、256色カラー表示も可能にした。
ゲームなどで使うキャラクタは、シャープお得意のPCG(Programmable Character Generator)にあらかじめ登録することで、カラーのキャラクターが8ビットCPUとは思えない速度で画面上を飛び回った。
MZ-2500シリーズでは、8KB×64=512KBの物理アドレス空間の任意の8つをCPUのアドレス空間に割り当てるバンクメモリ回路を備えている。
これにより、メインRAMは最大256KB、GVRAM(グラフィック)は最大128KB、CGRAM(テキスト)は14KB、IPL-ROMは32KBという、16ビット・パソコンなみのアドレス管理能力を備えている。
この結果、当時は16ビットのPC-9801 シリーズにしかできなかった640×400ドット・16色グラフィック表示や、40文字×20行の漢字表示を可能にした。また、320×200/400ドットながら、256色カラー表示も可能にした。
ゲームなどで使うキャラクタは、シャープお得意のPCG(Programmable Character Generator)にあらかじめ登録することで、カラーのキャラクターが8ビットCPUとは思えない速度で画面上を飛び回った。
ボイスレコーダー
本体前面左側のボイスレコーダーもユニークな機能だ。
カセットテープの録音・再生が可能なのだが、これまでのシャープのパソコン・ソフトが利用できるよう、プログラムやデータのロード/セーブが可能になっている。MZ-2000/2200シリーズのソフトも動かすことができる。
プログラムから制御が可能で、後に購入した専用モデムフォンとボイスボードを使い、留守番電話として使えるようにした。
カセットテープの録音・再生が可能なのだが、これまでのシャープのパソコン・ソフトが利用できるよう、プログラムやデータのロード/セーブが可能になっている。MZ-2000/2200シリーズのソフトも動かすことができる。
プログラムから制御が可能で、後に購入した専用モデムフォンとボイスボードを使い、留守番電話として使えるようにした。
2種類のBASIC
OSの代わりに使われるBASICインタプリタは2種類が同梱されており、いずれもフロッピーディスクから起動する。
BASIC-S25 は、それまでのシャープ・パソコンに搭載されてきたBASICの上位互換システム。
BASIC-M25 は、シェアを広げつつあったマイクロソフトBASIC(N-88-BASICなど)の互換システム。BASIC-M25 のソースコードを載せた書籍『BASIC-M25ソース・リスト : Super MZ』が出版され、その後、CP/M でCコンパイラを製作する際に大いに参考になった。
BASIC-S25 は、それまでのシャープ・パソコンに搭載されてきたBASICの上位互換システム。
BASIC-M25 は、シェアを広げつつあったマイクロソフトBASIC(N-88-BASICなど)の互換システム。BASIC-M25 のソースコードを載せた書籍『BASIC-M25ソース・リスト : Super MZ』が出版され、その後、CP/M でCコンパイラを製作する際に大いに参考になった。
Personal CP/M
シャープから純正OSとして、Personal CP/M が発売された。
1970年代の米デジタルリサーチによって開発された、8ビットCPU向けのシングルユーザー・シングルタスクOSで、後の MS-DOS に大きな影響を与えた。
アセンブラが付属しており機械語での開発も可能だったが、オープンソースだった Small-C を日本語化して移植した。
雑誌『Oh! MZ』では読者参加企画として、S-OS というシャープ全機種共通OSが開発され、さまざまな高級言語やゲーム、アプリケーションなどがリリースされた。すべてオープンソースで、大いに勉強になった。また、私もLISPやFORTHの開発をサポートした。
1970年代の米デジタルリサーチによって開発された、8ビットCPU向けのシングルユーザー・シングルタスクOSで、後の MS-DOS に大きな影響を与えた。
アセンブラが付属しており機械語での開発も可能だったが、オープンソースだった Small-C を日本語化して移植した。
雑誌『Oh! MZ』では読者参加企画として、S-OS というシャープ全機種共通OSが開発され、さまざまな高級言語やゲーム、アプリケーションなどがリリースされた。すべてオープンソースで、大いに勉強になった。また、私もLISPやFORTHの開発をサポートした。
拡張性
オプション品が豊富で、ジョイスティック、モデムフォン、ボイスボード、5インチFDDなどを揃えた。RS-232Cに加え、拡張スロットが2本あり、拡張性も優れていた。
ファイル交換用に3.5インチより普及していた5インチFDDが役に立った。100Kバイト単位のファイルを送ることができるほど、当時のパソコン通信は高速でなかった。
ファイル交換用に3.5インチより普及していた5インチFDDが役に立った。100Kバイト単位のファイルを送ることができるほど、当時のパソコン通信は高速でなかった。
アダプタを自作し、X1/turboシリーズの拡張ボードを利用できるようにした。
また、16ビットCPU Z280 を搭載するワンボードを接続し、CP/M-Plus でプログラム開発を行った。
また、16ビットCPU Z280 を搭載するワンボードを接続し、CP/M-Plus でプログラム開発を行った。
キーボード
キーボードは重量1.4kgもある重厚な作りで、長くプログラミングを続けても肩が凝らず、とても助かった。
パソコン通信
パソコン通信を意識した設計になっており、RS-232Cを標準装備しており、専用モデムフォンは300bpsという低速ながら、電話とデータ通信を1台でまかなうことができる。また、ターミナルソフトが標準添付されている。
モデムフォンはBASICからの制御も可能で、当時主催していた SIG の管理を行うために、朝になると自動接続し、未読記事やメールのダウンロード、必要な応答を自動で行うプログラムを作った。
LHarc のCP/Mへの移植がスムーズに進んだのも、北海道にお住まいの原作者、吉崎栄泰さんとパソコン通信で連絡を取り合えたおかげだ。
後に言うネット・ストーカーに絡まれたのも、この頃である。モデムフォンを使った自動応答システムを作ったのも、ストーカー対策が動機だった。
その後、ボランティア活動を通じて、一人暮らしの高齢者のための緊急通報システムとして活用できることに気づき、いくつかの自治体に無償提供した。
私は正規のシステム開発教育を受けていないのだが、こうした趣味のプログラミングのおかげで、30年後もシステム開発で飯を食っている。ありがたいことである。
モデムフォンはBASICからの制御も可能で、当時主催していた SIG の管理を行うために、朝になると自動接続し、未読記事やメールのダウンロード、必要な応答を自動で行うプログラムを作った。
LHarc のCP/Mへの移植がスムーズに進んだのも、北海道にお住まいの原作者、吉崎栄泰さんとパソコン通信で連絡を取り合えたおかげだ。
後に言うネット・ストーカーに絡まれたのも、この頃である。モデムフォンを使った自動応答システムを作ったのも、ストーカー対策が動機だった。
その後、ボランティア活動を通じて、一人暮らしの高齢者のための緊急通報システムとして活用できることに気づき、いくつかの自治体に無償提供した。
私は正規のシステム開発教育を受けていないのだが、こうした趣味のプログラミングのおかげで、30年後もシステム開発で飯を食っている。ありがたいことである。
項目 | 仕様 | コメント |
---|---|---|
CPU | Z80B 6MHz / 4MHz |
|
RAM | 128KB | 最大 256KB |
GVRAM | 64KB 640×400(4色) 320×200(256色) |
最大 128KB 640×400(16色) 320×400(256色) |
CGRAM | 14KB + PCG 80文字×25行/20行/12行カラー8色 40文字×25行/20行/12行カラー64色 |
|
ROM |
IPL-ROM 32KB 漢字ROM 256KB |
漢字ROMはJIS第一・第二水準標準装備 |
サウンド | YAMAHA YM2203×1(FM音源×3+SSG音源3) | オプションのボイスボードにより音声合成も可能 |
フロッピードライブ | 3.5インチ 2DD×2台 | |
ボイスレコーダー | カセットテープレコーダー | アナログ録音/再生の他、データやプログラムのセーブ/ロードが可能 |
拡張スロット | 2本 | |
インターフェース |
プリンタ(セントロニクス)×1 シリアル(RS-232C)×2 外部FDD(SHARP仕様)×1 ジョイスティック×2 キーボード×2 マウス×2 ディスプレイ出力×2 ディスプレイテレビ制御×1 専用モデム本端子×1 音声入出力端子(モノラル)×1 |
|
同梱ソフト | BASIC-S25 BASIC-M25 |
BASIC-M25はマイクロソフトBASIC互換 |
消費電力 | 50W | |
外形寸法(突起部除く) | 幅350mm×奥行345mm×高さ128mm | |
質量 | 約8.6kg |
1985~1988年に発売された主なパソコン
メーカー 機種 |
発売時期 定価 |
CPU | OSなど | 主記憶 外部記憶 |
画像表示 |
---|---|---|---|---|---|
NEC PC-98XA |
1985年5月 57万5千円~ |
16ビット 80286 8MHz |
ROM:N88-BASIC 漢字ROM FDD:MS-DOS |
512~768Kバイト FDD 別売HDD |
1120×750ドット 16色カラー |
NEC PC-9801U |
1985年5月 57万5千円~ |
16ビット V30 8MHz |
ROM:N88-BASIC 漢字ROM FDD:MS-DOS |
128Kバイト FDD |
640×400ドット 8色カラー |
富士通 FM-77AV |
1985年10月 12万8千円 |
8ビット 68B09 8MHz |
ROM: F-BASIC 漢字ROM FDD:OS-9 |
64~256Kバイト FDD |
640×200ドット 8色カラー PSG 3音 |
NEC PC-98LT ラップトップ |
1986年10月 23万8千円 |
16ビット V50 8MHz |
ROM:N88-BASIC 漢字ROM FDD:MS-DOS |
384Kバイト FDD |
640×400ドット 2階調 |
シャープ X68000 |
1987年3月 36万9千円~ |
16ビット 68000 10MHz |
FDD:Human68k + SX-Window X-BASIC 漢字ROM |
512Kバイト~ FDD 別売HDD |
768×512ドット 16色カラー PSG 3音 + ADPCM |
エプソン PC-286 |
1987年3月 35万7千円 |
16ビット 80286 10MHz |
ROM:ROM-BASIC 漢字ROM FDD:MS-DOS |
640Kバイト FDD |
640×400ドット 16色カラー |
IBM IBM PS/55 |
1987年5月 98万円~ |
32ビット 386DX 16MHz |
FD:JDOS OS/2 漢字ROM |
1Mバイト FDD HDD |
1024×768ドット 16色カラー |
Apple Macintosh II |
1987年9月 75万円 |
32ビット 68020 16MHz |
ROM: 漢字Talk 2.0~ |
1~8Mバイト FDD 別売HDD |
640×480ドット 256色カラー |
NEC PC-98XL2 |
1987年9月 98万円~ |
32ビット 386DX 16MHz V30 8MHz |
FD:MS-DOS OS/2 漢字ROM |
512K~14.5Mバイト FDD HDD |
1120×750ドット 16色カラー |
NEC PC-9801RA |
1988年7月 49万8千円~ |
32ビット 386DX 16MHz V30 8MHz |
ROM: N-88BASIC FD:MS-DOS OS/2 漢字ROM |
1.6~14.6Mバイト FDD HDD |
640×400ドット 16色カラー |
エプソン PC-386 |
1989年1月 59万8千円~ |
32ビット 386DX 20MHz |
ROM: ROM-BASIC FD:MS-DOS 漢字ROM |
1.6~14.6Mバイト FDD HDD |
640×400ドット 8色カラー |
参考書籍
ザイログZ80伝説 | |||
著者 | 鈴木哲哉 | ||
出版社 | ラトルズ | ||
サイズ | 単行本 | ||
発売日 | 2020年08月24日頃 | ||
価格 | 2,398円(税込) | ||
ISBN | 9784899774815 | ||
約半世紀に渡ってマニアを魅了し続けるZ80の、あの話とかこの話とか。 | |||
これまでお世話になったコンピュータ
- 1978年:カシオ FX-31
- 1979年:カシオ FX-502P
- 1981年:カシオ FX-602P
- 1983年:シャープ PC-1255
- 1984年:シャープ MZ-1500
- 1985年:シャープ MZ-2521
- 1989年:東芝 J-3100SS
- 1990年:東芝 J-3100GS
- 1991年:エプソン PC CLUB
- 1995年:NEC PC-9801BX3
- 1995年:アップル Performa 5220
- 2001年:アップル PowerBook G4
- 2003年:富士通 FMV LIFEBOOK 7140MR4
- 2006年:アップル MacBook
- 2008年:パナソニック Let's note CF-Y7D
- 2008年:アップル MacBook
- 2008年:ソーテック C101B4
- 2012年:Panasonic Let's note CF-SX1
- 2013年:アップル MacBook Pro 13インチ
- 2013年:アップル MacBook Pro 15インチ
- 2014年:アップル iMac 27インチ
- 2015年:カシオ fx-JP900
- 2018年:Panasonic Let's note CF-SZ6
- 2019年:アップル MacBook Pro 13-inch 2019
- 2021年:ASUS ROG Zephyrus G14
(この項おわり)
シャープ・パソコンのクリーン設計を引き継ぎつつ、CPUをZ80Bに強化。RAMはバンク切り替えで最大256KBまで搭載できる。SuperMZ の名前の通り、当時の8ビット・パソコンとしては最強のハード性能を備えていた。