西暦1632年 - タージ・マハル着工

ムガル帝国の最盛期
タージ・マハル
ムガル帝国第5代皇帝シャー・ジャハーンは、病没した愛妃ムムターズ・マハルのため、1632年に総大理石の墓廟「タージ・マハル」(Taj Mahal)の建設に着手する。1654年頃に竣工したとされている。

インド・イスラーム文化の代表的建築で、世界遺産に指定されている。
権力闘争の末、1628年、第5代ムガル帝国皇帝の座に就いたフッラムは、「世界の皇帝」を意味するシャー・ジャハーンを名乗った。

祖父の第3代皇帝アクバル以来、ムガル帝国は宗教寛容政策をとっていたが、ムスリムの間でイスラーム復興運動が盛んになるなどしたため、シャー・ジャハーンは他宗教に対して一定の制限を課した。

シャー・ジャハーンの治世、ムガル帝国の勢力はデカンに広がり、農業生産の向上などにより国庫歳入はアクバル時代の2倍にもなり、帝国は最盛期を迎える。その豊富な資金を建築や美術につぎ込み、インド・イスラーム文化は黄金期を迎える。

シャー・ジャハーンと愛妃ムムターズ・マハルの間には14人の子どもが産まれ、そのうち7人が成人した。だが、1630年6月にムムターズ・マハルが産褥熱で死亡すると、シャー・ジャハーンは大いに悲しみ、頭髪はすべて白髪になってしまったという。
1632年、シャー・ジャハーンはムムターズ・マハルの死を悼むために壮麗な墓廟タージ・マハルの建設事業に取りかかる。建設には巨費と膨大な労力が注ぎ込まれた。一辺57メートル四方の土台の上に58メートルの高さの中央ドームと42メートルのミナレット4本が立ち、それらすべての外壁が象嵌彫刻の施された白大理石で覆われるという壮大な墓廟である。

タージ・マハルは、現存する白大理石のものに加えて黒大理石の廟がヤムナー川をはさんで建てられ、その2つを大理石の橋でつないだ壮観な廟となる予定だったという。しかし、1657年9月、シャー・ジャハーンはデリーで重病となり、皇位継承戦争の勃発したため、黒い廟は、ついに建設されることはなかった。
1666年2月、シャー・ジャハーンは死去した。その遺体はタージ・マハルに運ばれ、ムムターズ・マハルの遺体の横に安置された。

入場者制限へ

2018年1月3日、インドは、タージ・マハルの保存を目的として、1日の入場者数を制限する方針を発表した。
タージ・マハルは、1日平均1万~1万5000人、週末には7万人が訪れるインド最大の観光地だが、観光客は増加の一途をたどっており、黄色化を防ぐために清掃することで大理石の摩耗を加速していることや、墓廟の基盤にも影響を及ぼしかねないため。

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(この項おわり)
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