
北海道大学工学部で学生の成績管理システムを運用していた伊藤博之さんは、1995年(平成7年)にクリプトン・フューチャー・メディアを起業する。学生の頃からやっていたたギターやコンピュータミュージックといった趣味が高じ、自作音源を雑誌を通じて告知したところ、予想外にニーズが多く、起業することにした。海外からのオーダーには、普及が始まったインターネットを利用して販売した。2001年(平成13年)には、携帯電話の着信音のための効果音販売を手掛ける。
一方、2000年(平成12年)3月に、YAMAHAが中心となり、歌声合成技術の開発プロジェクト「DAISY」がスタートする。DAISYは、1961年(昭和36年)にベル研究所の公開実験でコンピュータが世界で初めて歌った歌「Daisy Bell」にちなんで名付けられた。映画『2001年宇宙の旅』のラストで、人工知能「HAL 9000」が歌ったことでも有名。
YAMAHAは、2002年(平成14年)7月に着メロ事業で関係のあったクリプトン・フューチャー・メディアに試作品を紹介し、2003年(平成15年)2月に VOCALOID として発表。2004年(平成16年)11月に、クリプトン・フューチャー・メディアは VOCALOID を利用し、世界初の日本語バーチャルシンガーソフトウェア「MEIKO」を発売する。肉声に比べると不自然さが残る合成音声だったが、個人が利用できるパソコンだけで他に特殊な設備も必要なく女性ボーカルに歌わせることができることで、DTM愛好家の間に評判が広がり、初年度だけで約3千本を売り上げた。2006年(平成18年)2月に男性バーチャルシンガーソフトウェア「KAITO」を発売する。
そして、2007年(平成19年)8月に、佐々木渉(wat)さんがが企画開発を担当し、声優の藤田咲さんの声をサンプリングし、VOCALOID2エンジンを使って動く初音ミクを発売する。伊藤らは、このソフトを音楽創作活動に使ってもらいたいという考えから、初音ミクの公式プロフィールやデザインを公開し、二次利用できるように場を整えた。その衣装には、一世を風靡したYAMAHAのデジタルシンセサイザー「DX-7」があしらわれている。
クリプトン・フューチャー・メディアは は、2007年(平成19年)12月に鏡音リン・レン、2009年(平成21年)1月に巡音ルカを販売開始し、MEIKO、KAITO、初音ミクを加えた6人でピアプロキャラクターズを構成する。そこには「ピアプロダクション=創作の連鎖」という想いが込められている。
一方、2000年(平成12年)3月に、YAMAHAが中心となり、歌声合成技術の開発プロジェクト「DAISY」がスタートする。DAISYは、1961年(昭和36年)にベル研究所の公開実験でコンピュータが世界で初めて歌った歌「Daisy Bell」にちなんで名付けられた。映画『2001年宇宙の旅』のラストで、人工知能「HAL 9000」が歌ったことでも有名。
YAMAHAは、2002年(平成14年)7月に着メロ事業で関係のあったクリプトン・フューチャー・メディアに試作品を紹介し、2003年(平成15年)2月に VOCALOID として発表。2004年(平成16年)11月に、クリプトン・フューチャー・メディアは VOCALOID を利用し、世界初の日本語バーチャルシンガーソフトウェア「MEIKO」を発売する。肉声に比べると不自然さが残る合成音声だったが、個人が利用できるパソコンだけで他に特殊な設備も必要なく女性ボーカルに歌わせることができることで、DTM愛好家の間に評判が広がり、初年度だけで約3千本を売り上げた。2006年(平成18年)2月に男性バーチャルシンガーソフトウェア「KAITO」を発売する。
そして、2007年(平成19年)8月に、佐々木渉(wat)さんがが企画開発を担当し、声優の藤田咲さんの声をサンプリングし、VOCALOID2エンジンを使って動く初音ミクを発売する。伊藤らは、このソフトを音楽創作活動に使ってもらいたいという考えから、初音ミクの公式プロフィールやデザインを公開し、二次利用できるように場を整えた。その衣装には、一世を風靡したYAMAHAのデジタルシンセサイザー「DX-7」があしらわれている。
クリプトン・フューチャー・メディアは は、2007年(平成19年)12月に鏡音リン・レン、2009年(平成21年)1月に巡音ルカを販売開始し、MEIKO、KAITO、初音ミクを加えた6人でピアプロキャラクターズを構成する。そこには「ピアプロダクション=創作の連鎖」という想いが込められている。
2007年(平成19年)12月に、ryo がニコニコ動画に投稿した「メルト」は、初音ミクを媒介者としてクリエイターの個性や世界観を反映した楽曲として、ネット上で大きな話題となった。VOCALOIDを利用して創作するクリエイターはボカロPと呼ばれ、人間のアーティストが初音ミクの曲をカバーする「歌ってみた」が投稿されるようになる。
ボカロPのきくおによる「愛して愛して愛して」は、2023年(令和5年)1月、VOCALOID曲としては初の快挙となるSpotifyでの1億回再生を突破した。
心地の良い作品を制作して大衆に消費されてきた音楽業界は、初音ミクの登場によって一変した。
さまざまなボカロPが心の闇をも初音ミクという虚ろな媒介者に託し、視聴者の心に直接届けるムーブメントは世界中に共感者を獲得し、初音ミク現象と呼ばれるようになる。それは、わが国の伝統文化である能楽の空白に通じる部分がある。
初音ミクの 3D CG が歌って踊ることで、ボカロPたちは顔出しする必要もなくなり、民族や宗教も関係なく、さまざまな障害を抱えた人たちでも音楽を通じて世界へ気持ちを伝えられる時代となった。
さまざまなボカロPが心の闇をも初音ミクという虚ろな媒介者に託し、視聴者の心に直接届けるムーブメントは世界中に共感者を獲得し、初音ミク現象と呼ばれるようになる。それは、わが国の伝統文化である能楽の空白に通じる部分がある。
初音ミクの 3D CG が歌って踊ることで、ボカロPたちは顔出しする必要もなくなり、民族や宗教も関係なく、さまざまな障害を抱えた人たちでも音楽を通じて世界へ気持ちを伝えられる時代となった。
参考サイト
- 初音ミク公式ブログ
- 初音ミク 公式@cfm_miku:Twitter(現・X)
- VOCALOID:YAMAHA
- クリプトン・フューチャー・メディア株式会社:
- 伊藤博之:Twitter(現・X)
- J-POP“ボカロ”が世界を満たす:NHKスペシャル
この時代の世界
(この項おわり)
初音ミクが歌う楽曲は、前年12月にサービス開始したニコニコ動画に次々に投稿され、ボカロというあらたな文化・ジャンルを築き、わが国を含む世界の音楽業界の構図を塗り替えてゆくことになる。