西暦1846年 - 海王星の発見

天体力学の勝利
海王星
海王星はガリレオ・ガリレイやジェローム・ラランドによっても観測されていたが、当時は恒星と思われていた。(近年、ガリレオは海王星が惑星であると気づいていたとする仮説が発表された。)

天王星の発見後、その軌道のふらつきから未知の惑星が存在すると考えられるようになった。
1841年、当時22歳だったアダムズは、たまたま本屋でイギリス科学振興協会年次報告書に書かれている天王星に関する話題を目にした。アダムズは摂動論を駆使し、未知の惑星の軌道要素を算出した。
1845年10月、アダムズはグリニッジ天文台長エアリーに軌道要素を届けたものの、エアリーはそれを黙殺してしまった。

同じ頃、アダムズと独立して未知の惑星の軌道要素の計算に取り組んでいたフランスのユルバン・ルヴェリエは、彗星の近日点移動などに関して優れた業績を収めており、パリ天文台長アラゴーもその才能に一目置いていた。まめな性格のルヴェリエは、軌道要素計算の進捗状況を、パリ科学アカデミー紀要に報告しており、1846年8月、軌道要素の確定値を記した論文を発表した。
ルヴェリエは早速、ベルリン天文台のガレに手紙を書き、観測を依頼した。手紙を受け取ってすぐにガレは観測を始め、ルヴェリエの位置予報から1度と離れていないところに、8等級の未知の惑星を発見したのである。

海王星発見の報を受け、エアリーも事の重大さを認めざるを得なくなり、しばらく、英仏間で第一発見者を誰にするかという論争が続いたが、結局、ルヴェリエに発見者の座を譲った。
なお、ガレが発見する1ヶ月前、チャリスは2度にわたって海王星を観測していたが、新惑星であることに気付かなかった。

ルヴェリエは、水星の近日点移動も、未知の惑星「ヴァルカン」の摂動によるものと予想し、この惑星の探索を試みた。しかし、水星の近日点移動は太陽の強い重力によるもので、それが解明されるのは20世紀に入り、アインシュタインが発表する一般相対性理論を待たねばならなかった。

この時代の世界

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参考書籍

表紙 西洋天文学史
著者 マイケル・ホスキン/中村士
出版社 丸善出版
サイズ 全集・双書
発売日 2013年05月31日
価格 1,080円(税込)
rakuten
ISBN 9784621086674
本書では、おもにヨーロッパを中心とした天文学の黎明期から、望遠鏡の発明を経て天体物理学として飛躍的に発展する19世紀中頃までの歴史について解説します。今では高度なビッグ・サエインスに発展している現代天文学とその宇宙観が、どのようにして誕生し、進歩してきたかを知るための格好の入門書です。
 
表紙 幻の惑星ヴァルカン
著者 トマス・レヴェンソン/小林 由香利
出版社 亜紀書房
サイズ 単行本
発売日 2017年11月13日
価格 2,376円(税込)
rakuten
ISBN 9784750515281
人々の欲望が生み出し、そして消し去られた惑星があった。ニュートン理論に基づいて考えれば、ここには未発見の惑星があるに違いないーまだ見ぬ惑星を探し求める人々、そしてアインシュタイン。未知の惑星探査を通じて、科学の進歩とパラダイムシフトを描く、ロマンあふれるサイエンス・ノンフィクション!
 
(この項おわり)
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