西暦1954年 - 映画「ゴジラ」封切り

第五福竜丸被爆事件がきっかけ
映画「ゴジラ」ポスター
1954年(昭和29年)11月3日、特撮映画「ゴジラ」が封切りになる。東宝が製作した日本の怪獣映画の元祖である。

「ゴジラ」は、同じ年の3月1日にビキニ島の核実験によって起きた第五福竜丸被爆事件をきっかけに制作された。太古の恐竜の生き残りが水爆によって50メートルに巨大化したという設定。
観客動員数は961万人を記録し、その年の邦画の興行記録を塗り替えた。

東京に上陸したゴジラは、銀座和光ビルの時計台を壊す、和光本社はこれに激怒し、以後2年間ほど、東宝の一切のロケ使用を許可しなかったという。
また、ゴジラが吐く放射能で炎上した銀座松坂屋も、「演技でもない」と激怒したという。それほど社会に影響を与えた作品だった。

1955年(昭和30年)4月24日に、第2作『ゴジラの逆襲』が公開された。怪獣アンギラスが登場し、ゴジラとの戦いを中心に話が進み、反核の色合いが薄まった。興行収入は1億7千万円で第1作を上回ったのだが、1962年(昭和37年)までゴジラ映画は制作されなかった。

昭和ゴジラ

1962年(昭和37年)8月11日に、第3作『キングコング対ゴジラ』が公開される。キングコングの権利を所有していたRKO社とのライセンス提携作品で、両者の戦いを描く娯楽作品となった。
1964年(昭和39年)4月29日に、1961年(昭和36年)に公開された東宝の怪獣映画『モスラ』の続編となる第4作『モスラ対ゴジラ』が公開される。ザ・ピーナッツが演じる双子の小美人が印象的だった。
1965年(昭和40年)12月20日に公開された第5作『三大怪獣 地球最大の決戦』からお正月の娯楽映画として定着する。
ところがマンネリ化が進み、1975年(昭和50年)に公開された第15作『メカゴジラの逆襲』で観客動員数が100万人を割り、1984年(昭和59年)まで制作を休止する。ここまでの作品は、のちに昭和ゴジラと呼ばれるようになる。

ゴジラが南太平洋から日本をめがけて北上するのは、第五福竜丸の悪夢もあったが、特撮円谷英二をはじめとして、スタッフの多くが何らかの形で南方戦線に関わっていたためとも言われている。これは、1961年(昭和36年)公開の特撮怪獣映画「モスラ」で一層鮮明となる。

平成ゴジラ

第15作から8年が経過するとゴジラ映画再開の気運が高まり、1984年(昭和59年)12月15日に第16作『ゴジラ』が公開される。第1作のゴジラとは別の個体という設定で、新宿の高層ビル街に現れる。都市の高層化に合わせ、ゴジラの身長は50メートルから80メートルに大型化した(第18作『ゴジラvsキングギドラ』以降は100メートル)。観客動員数320万人、配給収入17億円で、この年の邦画第2位となった。
その後、1995年(平成7年)12月9日の第22作『ゴジラvsデストロイア』までを平成ゴジラと呼ぶ。どの作品も昭和ゴジラを踏襲した対決ものとなっている。

ミレニアムシリーズ

1999年(平成11年)12月11日に公開された第23作『ゴジラ2000 ミレニアム』から、2004年(平成16年)12月4日の第28作『ゴジラ FINAL WARS』までをミレニアムシリーズと呼ぶ。
CGを多用し、ミニチュアのスケールも大型化することでリアル感を出そうと試みたが、いかんせん、当時のCG技術には限界があった。

ゴジラは着ぐるみになっており、実際には中の人(スーツアクター)が演技をしている。2004年(平成16年)の第28作「ゴジラ FINAL WARS」まで、この方式がとられており、日本の特撮映画の真骨頂となった。アメリカの人形アニメ特撮とは一線を画す。
第1作から1972年(昭和47年)の第12作「地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン」までの18年間、中島春雄 (なかじまはるお) (1929年~2017年)がスーツアクターを務めた。
中島春雄は、特撮テレビドラマのウルトラシリーズでも数多くの怪獣役として出演しており、ウルトラマンのスーツアクターであった新人の古谷敏 (ふるやさとし) は大いに勉強させられたという。
平成ゴジラのスーツアクターは、第11作『ゴジラ対ヘドラ』でヘドラのスーツアクターだった薩摩剣八郎 (さつま けんぱちろう) (1947年=2023年)が担当した。

この他、東宝が制作に直接関わっていない作品としては、米トライスター ピクチャーズの『GODZILLA』(1998年公開)、米レジェンダリー・ピクチャーズの『GODZILLA ゴジラ』(2014年版)、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019年公開)、『ゴジラvsコング』(2021年公開)、日本のポリゴン・ピクチュアズによる3Dアニメの『GODZILLA』(2017年~2018年(平成30年)、全3部作)、日本のボンズとオレンジによるテレビアニメ『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』(2021年、全13話)などがある。

シン・ゴジラ以降

フルCGで着ぐるみのゴジラを再現して見せたのが、2016年(平成28年)7月29日に公開された第29作『シン・ゴジラ』である。脚本と総監督を庵野秀明、監督と特技監督を樋口真嗣が務めた。自衛隊や海上保安庁、米軍の実在する艦船・航空機を使い、品川、鎌倉、横浜といった実在する街並みがゴジラによって破壊される様がリアルに作り込まれた。観客動員数550万人、興行収入80億円を突破し、ゴジラ史上最大の成功を収めた。
2023年(令和5年)11月3日に、ゴジラ70周年を記念し、第30作『ゴジラ-1.0』が公開された。第1作より前の時代、終戦直後にゴジラが現れるという設定だ。

この時代の世界

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参考書籍

表紙 怪獣人生 元祖ゴジラ俳優・中島春雄
著者 中島春雄
出版社 洋泉社
サイズ 単行本
発売日 2010年07月
価格 3,190円(税込)
ISBN 9784862485892
特撮の神様・円谷英二が最も信頼した役者、中島春雄の半生ー。
 
表紙 モスラの精神史
著者 小野俊太郎
出版社 講談社
サイズ 新書
発売日 2007年07月
価格 836円(税込)
ISBN 9784062879019
なぜ蛾の姿なのか?あの歌の意味はなにか?ゴジラとどこが違うのか?多くの謎が、いま解き明かされる。
 
表紙 ウルトラマンになった男
著者 円谷プロダクション/古谷 敏
出版社 小学館
サイズ 単行本
発売日 2009年12月21日頃
価格 1,870円(税込)
ISBN 9784093878944
最初のウルトラマンを演じた男、古谷敏初の回想録。
 
(この項おわり)
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