ナイチンゲールと統計学

ナイチンゲール

コウモリの翼
そこでナイチンゲールは、イギリス兵の戦死者・傷病者に関する膨大なデータを集め、統計解析を行い、ビクトリア女王に800ページにも及ぶ報告書を提出した。
その中で目を引くのが「コウモリの翼」と呼ばれる円グラフで、毎月の兵士の死因を、戦争による負傷(赤色)より、衛生・栄養状態に起因するもの(青色)が多いことが一目で見て分かる。女王は即座に衛生改善命令を出し、戦地での死亡率は40%から2%に改善したのであった。
その中で目を引くのが「コウモリの翼」と呼ばれる円グラフで、毎月の兵士の死因を、戦争による負傷(赤色)より、衛生・栄養状態に起因するもの(青色)が多いことが一目で見て分かる。女王は即座に衛生改善命令を出し、戦地での死亡率は40%から2%に改善したのであった。
こうした功績から、ナイチンゲールは「近代看護教育の生みの親」とされているが、彼女は上流階級の家庭に生まれ、若い頃から近代統計学の父、ベルギー人のアドルフ・ケトレーを信奉し、数学や統計学についてよく勉強していたという。
1860年には、ケトレーが立ち上げた国際統計会議のロンドン大会に出席し、統一的な病院統計のためのモデル形式を提案した。
1860年には、ケトレーが立ち上げた国際統計会議のロンドン大会に出席し、統一的な病院統計のためのモデル形式を提案した。
参考書籍
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ナイチンゲールは統計学者だった! | ||
著者 | 丸山健夫 | ||
出版社 | 日科技連出版社 | ||
サイズ | 単行本 | ||
発売日 | 2008年06月 | ||
価格 | 1,980円(税込) | ||
ISBN | 9784817192738 | ||
ナイチンゲールは、統計学者だった!英国の陸軍兵士たちへの熱い想いが、彼女を統計学のプレゼンテーションの世界へと導く。ナイチンゲールと統計学の関係をはじめ、19世紀の統計学を創った、日本と西洋の人々の物語。 | |||
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科学史人物事典 | ||
著者 | 小山慶太 | ||
出版社 | 中央公論新社 | ||
サイズ | 新書 | ||
発売日 | 2013年02月 | ||
価格 | 1,012円(税込) | ||
ISBN | 9784121022042 | ||
十六世紀のコペルニクスから現代の先端科学まで、160人以上の科学者を選び、業績だけでなく、当時の世相や科学者たちの素顔も紹介。読んで楽しい人物事典。 | |||
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統計学大百科事典 | ||
著者 | 石井 俊全 | ||
出版社 | 翔泳社 | ||
サイズ | 単行本 | ||
発売日 | 2020年07月08日頃 | ||
価格 | 2,530円(税込) | ||
ISBN | 9784798162805 | ||
様々な分野で登場する可能性の高い統計学の公式・定理を解説しています。統計学を必要としている人が効率的に・要領よく学ぶことができます。充実した索引を活用し、リファレンスとしても利用できます。各節に「難易度」「実用」「試験」それぞれの重要性を星5段階で示しています。「Business」という項目で、その統計学の知識を利用した身近な例を主に紹介しています。 | |||
この時代の世界
(この項おわり)
1854年、ナイチンゲールは志願してクリミア戦争の従軍看護婦となった。
しかし、現地の軍病院は極めて不衛生で、官僚的な縦割り行政の弊害から必要な物資も届かない有様であった。