西暦1949年 - 小説『1984年』出版

1949年、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』が出版される。

核戦争後の近未来世界は、オセアニア、ユーラシア、イースタシアの3つの超大国によって分割されているという設定で、全体主義の怖ろしさを描いたディストピア小説である。トマス・モア『ユートピア』（1516年）、スウィフト『ガリバー旅行記』（1726年）と並ぶ、イギリス風刺小説の名作だ。

1903年、イギリスの植民地インドの裕福な資産家の家に生まれたジョージ・オーウェルは、奨学金を得てイートン・カレッジへ進み、後にイギリスを代表する知識人たちとの交流を深めた。
その後、ミャンマーで警官になるが、現地人を見下すイギリス人の姿に愛想を尽かし、5年で辞職してイギリスへ戻ってしまう。ロンドンで皿洗いをしながら放浪し、小説を書くようになる。

1936年、スペイン内戦に参戦し、マルクス主義統一労働者党の伍長となった。オーウェルは、人民戦線の兵士たちの勇敢さに感銘を受ける一方で、共産党軍には義憤を抱いた。

ビッグ・ブラザー（Big Brother）
オセアニアの権力構造の頂点に君臨する独裁者で、ポスターやテレスクリーMacintoshンには黒い髪に黒い黒い髭をたくわえたスターリンのような人物として描かれているが、肉体をもった実物は登場しない。スローガンは「ビッグ・ブラザーがあなたを見守っている（Big Brother is watching you）」。

Appleは、1984年に発売したのテレビ広告において、IBMをビッグ・ブラザーになぞらえ、you'll see shy 1984 won't be like"1984" という有名なフレーズを展開する。

テレスクリーン（Telescreen）
テレビジョンと監視カメラを兼ねた機能を持っており、真理省のプロパガンダを国民に伝えるとともに、視聴者の様子を撮影してどこかへ送信している。

101号室（Room 101）
オセアニア政府の思想警察に捕らえられ、愛情省に収監されている政治思想犯が拷問・洗脳を受ける部屋。受刑者の心に潜む悪夢、恐怖を利用し、思想信条の自由すら奪うことができることを示している。

オーウェルは、BBC勤務時代、長時間の会議が行われていた1階の会議室から着想を得たという。

ダブルシンク（Doublethink）
オセアニアは全体主義国家であるから民主主義が並立するわけがないのに、それでも党は民主主義の擁護者だというプロパガンダを信じるように、「一つの精神が同時に相矛盾する二つの信条を持ち、その両方とも受け容れられる能力」を指す。