
『ローザ・ウルシナ』

クリストフ・シャイナー
その後、太陽を投影する装置の設計を思いつき、太陽の動きを追跡するために一本の軸を基準にして動く赤道儀を開発し、望遠鏡と描画用のイーゼルが垂直の位置関係を保つヘリオスコープを発明した。
シャイナーは最初、黒点は太陽の衛星であると考えていた。しかし、この発見はイエズス会の信用を損なうとされ、本名での発表は行われず、密かにヨハネス・ケプラーやガリレオ・ガリレイに伝えられた。
シャイナーは最初、黒点は太陽の衛星であると考えていた。しかし、この発見はイエズス会の信用を損なうとされ、本名での発表は行われず、密かにヨハネス・ケプラーやガリレオ・ガリレイに伝えられた。

ヘリオスコープ
『ローザ・ウルシナ』の黒点観測記録のおかげで、その15年後に太陽活動周期が低下するマウンダー極小期が訪れたことが明らかになった。それだけでなく、望遠鏡の設計・製造に関わる多くの知見が挿絵入りで描かれている。
一方、ガリレオは黒点の発見者がシャイナーではなく自分であることを主張し、両者の関係は険悪なものとなっていった。シャイナーによって、1633年に教会がガリレオへの攻撃を開始するきっかけになったとも言われている。
一方、ガリレオは黒点の発見者がシャイナーではなく自分であることを主張し、両者の関係は険悪なものとなっていった。シャイナーによって、1633年に教会がガリレオへの攻撃を開始するきっかけになったとも言われている。
参考書籍
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太陽の支配 | ||
著者 | デイビッド・ホワイトハウス/西田美緒子 | ||
出版社 | 築地書館 | ||
サイズ | 単行本 | ||
発売日 | 2022年03月30日頃 | ||
価格 | 3,520円(税込) | ||
ISBN | 9784806716327 | ||
太陽を理解することは、宇宙を、そして地球とその生命の歴史理解に欠かせない。科学、歴史、哲学、考古学、宗教学を総動員して、BBCの科学ジャーナリストが太陽を語る。古代の太陽崇拝から、日食や黒点の観測、太陽風がもたらす通信障害まで、神話・民俗学・天文学を通して巨大な太陽の存在と人びとの関わりに迫る。 | |||
この時代の世界
(この項おわり)
シャイナーはヘリオスコープを発明し、太陽黒点の観測を15年にわたって続け、そのすべてを『ローザ・ウルシナ』で説明している。
シャイナーはイエズス会士であったが、1617年頃、2枚の凸レンズを用いるケプラー式望遠鏡を初めて組み立てて使用したと考えられている。
シャイナーが太陽観測をはじめたばかりの頃は、青や緑色のガラスをフィルターとして用い、日の出の直後と日の入りの直前、または雲がかかっているときに太陽の観測を行っていた。