西暦1831年 - 電磁誘導の発見

真理を嗅ぎつける独特の実験センス
マイケル・ファラデー
マイケル・ファラデー
1831 年、イギリスの実験科学者マイケル・ファラデーは、磁場の中で導体が運動したり、周囲で磁場が変化すると、導体に電流が流れる電磁誘導を発見する。現代において、発電機や変圧器など、多くの電気機器を動作させている重要な原理である。

1791 年、ロンドンの貧困家庭に生まれたファラデーは、十分な教育を受けることもなく、13 歳の時に製本屋に奉公に出された。ここで多くの科学書に触れたファラデー少年は、『ブリタニカ百科事典』に載っていたボルタやガルバーニの電気実験を自分でもやってみたいと思うようになった。
1812 年、ロンドン王立研究所のハンフリー・デービー教授の公開実験を聴講したファラデーは、実験の様子をスケッチし、清書したノートを製本してデイビーに送り届けた。これが縁で、翌年、デービーの助手に任命される。

デービーは、高等教育を受けていない製本職人が科学研究ができるとは想像だにしていなかったが、1816 年、ファラデーは生石灰の分析に関する研究で最初の論文を発表すると、真理を嗅ぎつける独特の実験センスで、化学、物理の分野に大きな貢献をしていくことになる。

当時、解析学の支援を受けて発展していた力学分野は、数学を修めていないファラデーが参入する余地はなかったといえよう。一方、化学や電磁気学は錬金術世界をひきずっており、まず実験によってどのような未知の現象があるのかを調べることが必要であった。ここでファラデーの才能が活躍したのである。
ファラデーが電磁誘導を発見する数ヶ月前、アメリカの物理学者ジョセフ・ヘンリーも電磁誘導を発見しており、1829 年にはイタリアのフランチェスコ・ツァンテデスキも論文を発表していた。だが、彼らが力学の遠隔力ととらえていたのに対し、ファラデーは電気力線・磁力線という近接作用を意識していた点が、ファラデーの真理を嗅ぎつける実験センスの表れであった。

1851 年、ロンドン万国博覧会では、計画立案と評価に参加した。
1853 年に始まったクリミア戦争では、イギリス政府から化学兵器の製造を打診されたとき、ファラデーは机を叩き、「作ることは容易だが、絶対に手を貸さない」と言ったと伝えられている。

イギリスを代表する科学者となったファラデーは、1857 年、王立協会会長に推挙されるが、これを固持した。1860 年には有名な『ロウソクの科学』講演を行い、かつて自身がデービー教授の公開実験に魅せられたように、多くの子どもたちに科学の面白さを伝えた。
1858 年まで王立研究室の一室で質素な暮らしを続けていたファラデーだが、健康を心配したヴィクトリア女王は彼にハンプトン・コートの屋敷を下賜した。ファラデーは「私は最後までただのマイケル・ファラデーでいたい」という名言を残し、1867 年、この屋敷で息を引き取った。

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参考書籍

表紙 ロウソクの科学
著者 マイケル・ファラデー/三石巌
出版社 角川書店
サイズ 文庫
発売日 2012年06月
価格 561円(税込)
rakuten
ISBN 9784041002841
「この宇宙をまんべんなく支配するもろもろの法則のうちで、ロウソクが見せてくれる現象にかかわりをもたないものは一つもないといってよいくらいです」ロンドンの貧しい鍛冶屋の家に生まれたファラデーは、1本のロウソクを用いて科学と自然、人間との深い交わりを伝えようとする。子供たちへの慈愛に満ちた語りと鮮やかな実験の数々は、科学の面白さ、そして人類の未来をも照らしだす。時を超えて読者の胸を打つ感動的名著。
 
(この項おわり)
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