西暦1897年 - ツィオルコフスキーの公式

宇宙旅行の父
コンスタンチン・ツィオルコフスキー
1897年(明治30年)、ロシアのロケット研究者、コンスタンチン・ツィオルコフスキーは、ロケット推進に関する「ツィオルコフスキーの公式」を発表する。
ロケットの発射時質量を m0、時間 T 経過後の質量を mT、質量変化は推進剤として速度 w で噴射されたものとすると、時間 T 経過後のロケットの速度変化分 ΔV は次の式で表される(ln は自然対数)。\[ \Delta V=w\ \ln\frac{m_0}{m_T} \]
重力や空気抵抗の影響は考慮されていないものの、現代のロケットも基本的にはこの公式に従っており、ツィオルコフスキーは「宇宙旅行の父」と呼ばれるようになった。
ツィオルコフスキーは、1857年(安政3年)、モスクワ南東のリャザン州イジェフスクで生まれた。
活発な少年だったが、10歳の時に猩紅熱にかかり難聴となり、友達がいなくなり、次第に家に籠もりがちになった。母が他界し家計は苦しかったが、聡明な子どもに学問をさせるため、父はツィオルコフスキーをモスクワへ送った。モスクワで図書館通いをしたツィオルコフスキーは、独学で数学や物理学、天文学を学んだ。
1876年(明治9年)、数学の教師の資格を取得し、故郷のカルーガに戻って中学校で教師として働いた。
ジュール・ヴェルヌの『月世界旅行』を愛読しており、自宅の地下に実験室を設け、圧縮ガスを使った噴射実験などを行い、ついに「ツィオルコフスキーの公式」を導き出す。
だが、ツィオルコフスキーは、自らの研究成果をロシア帝国の学会に送ったが相手にされなかった。
1903年(明治36年)、ツィオルコフスキーは独自のロケット理論を「反作用利用装置による宇宙探検」という論文にまとめた。この中には、宇宙旅行や軌道エレベーターの可能性、液体燃料ロケットの設計図が含まれていた。今日のロケット工学は、この論文の発展形だと言っても過言ではない。

ロシア帝国時代は不遇だったツィオルコフスキーだが、ロシア革命を機に評価されるようになり、1919年(大正8年)にはソビエト社会主義共和国連邦科学アカデミーの会員となった。1935年(昭和10年)9月に死去し、国葬が執り行われた。

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参考書籍

表紙 ニッポン宇宙開発秘史
著者 的川泰宣
出版社 NHK出版
サイズ 新書
発売日 2017年11月
価格 858円(税込)
ISBN 9784140885338
敗戦国が始めた宇宙開発は、いまや世界トップレベルの技術を持つに至った。本書は、笑いあり涙ありの舞台裏をまじえて、その道のりを活写。逆境と克服を繰り返した歴史を辿ると、日本が持つ真の力と今後の行く末が見えてきた!なぜ私たちは宇宙をめざすのか?民間ロケットや「みちびき」は何をもたらすのか?「宇宙教育の父」が書き下ろす、一気読み間違いなしの決定版。
 
(この項おわり)
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