西暦1901年 - 田中正造が天皇に直訴

足尾銅山鉱毒問題
田中正造
1901年(明治34年)12月10日、帝国議会の開院式を終え皇居へ帰る途中の天皇の車列に向かい、田中正造 (たなかしょうぞう) は直訴した。しかし、田中はその場で警官に取り押さえられ、直訴状は天皇に届かなかった

下野国 (しもつけのくに) (現在の栃木県)に生まれた田中正造は、1879年(明治12年)、「栃木新聞」を創刊。明治13年には栃木県会議員に当選し、民権運動を展開する。
さらに、1890年(明治23年)の第1回総選挙に栃木県三区から立候補し当選、国会議員となる。
その直後、栃木県と群馬県の県境を流れる渡良瀬川 (わたらせがわ) に大洪水が起こり、上流にある足尾銅山 (あしおどうざん) の鉱毒が広がった。

鉱毒事件を知った田中は被害地を視察し、農民たちの声に耳を傾けた。
1891年(明治24年)12月、第2回帝国議会において田中は鉱毒問題を追及した。
当時の農商務大臣 (のうしょうむだいじん) 陸奥宗光 (むつむねみつ) であった。陸奥の息子は、足尾銅山の経営者・古川市兵衛のもとへ養子に出されていた。そのためかどうか分からないが、陸奥は田中の追及を巧みにかわした。
1894年(明治27年)に日清戦争が勃発し、足尾銅山の重要性はさらに高まった。

1900年(明治33年)2月13日、2千人を超える被害民が集まり、上京を開始した。被害民が利根川のほとり、群馬県の川俣に近づいた時、180人を超える警官隊が行く手を遮り、被害民を殴るなどの暴行に及んだ。100人あまりの被害民が逮捕された。いわゆる川俣事件 (かわまたじけん) である。

川俣事件に衝撃を受けた田中正造は、4日後の議会で政府を追及する亡国演説を行う。これに対し、時の総理大臣・山県有朋 (やまがたありとも) は無視を決め込んだ。
政府に絶望した田中は、ついに直訴に及ぶことになる。直訴状の原文は、明文化として知られていた社会主義者の幸徳秋水 (こうとくしゅうすい) がしたためた。

田中正造の直訴は失敗するが、この事件は毎日のように新聞に掲載され、世論は沸騰した。
やむなく政府は、渡良瀬川の治水事業と称して、渡良瀬遊水池を設けようとする。その実態は、鉱毒水を貯めるための貯水池である。
栃木県は、水没する谷中村の土地買収にかかるが、村民は最後まで抵抗した。田中も谷中村に移り住み抵抗運動に身を投じるが、1913年(大正2年)9月4日に胃癌で死去する。

足尾銅山は採掘量が減り、1973年(昭和48年)2月28日をもって操業を停止し閉山した。その翌年、被害民と古川工業との間で保証調停が成立した。
現在は足尾銅山観光などの観光地になっている一方、製錬施設を利用しての産業廃棄物のリサイクル事業を行っている。

この時代の世界

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参考書籍

表紙 白い河 風聞・田中正造
著者 立松和平
出版社 東京書籍
サイズ 単行本
発売日 2010年06月
価格 1,512円(税込)
rakuten
ISBN 9784487804887
毎日出版文化賞受賞『毒』から13年。洪水、鉱毒、兵役拒否、国家による鎮圧そして満州の戦場へ。自らの家族の根を足尾銅山にもつ立松和平が、田中正造と足尾鉱毒農民たちの魂を描き、最期まで筆を執った書下し長編。
 
表紙 鉱毒に消えた谷中村 田中正造と足尾鉱毒事件の一〇〇年
著者 塙和也/毎日新聞社
出版社 地方・小出版流通センター
サイズ 単行本
発売日 2008年02月
価格 1,944円(税込)
rakuten
ISBN 9784887481695
「谷中、銅山との戦なり。官憲之に加わりて銅山を助く。人民、死を以て守る。憲法を守り、自治の権を守り、祖先を守る。死を以て守る」足尾から渡良瀬川流域、さらに北海道へ、フィリピンへ、鉱毒事件を再検証する意欲的連載が完結。谷中村廃村から100年、足尾鉱毒事件は現代に何を投げかけているのか。
 

渡良瀬遊水池付近の地図

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目的地:渡良瀬遊水池
(この項おわり)
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