西暦1912年 - ケフェイド変光星の周期=光度関係の発見

女性天文学者の活躍
ヘンリエッタ・スワン・リービット
ヘンリエッタ・スワン・リービット
1912年、アメリカ合衆国の女性天文学者ヘンリエッタ・スワン・リービットは小マゼラン雲にあるケフェイド変光星に着目し、変光周期と実際の光度の間に相関関係があることを発見した。
これにより、天の川銀河の大きさや、アンドロメダ星雲が銀河系外にあることが明らかになった。
1877年、ハーバード大学天文台長となったエドワード・ピッカリングは、観測によって得た膨大な天体写真のデータを解析するコンピュータ(計算手)として、時給25セントから35セントで45名の女性を雇い、ピッカリングのハーレムと呼ばれた。彼女たちは地道に作業を進め、確実に成果を上げた。

1893年にリービットはハーバード大学天文台で学びながら、無給助手として働くようになった。リービットは星の等級を記録する作業を任せられ、その中でも写真データから変光星を探し出し、カタログに記録するという仕事に従事した。
病気がちで内向的な性格のリービットだったが、有給職員としてピッカリングの下で働くようになると、大小マゼラン雲から1777個の変光星を発見し、一覧表にした。
その後、病気療養に入るが、1910年に職場復帰し、1912年にはケフェイド変光星の変光周期と実際の光度の間に相関関係があることを発見し、論文に発表した。

リービットが論文発表した時点では、基準となるケフェイド変光星までの距離が分かっていなかったが、1913年にデンマークの天文学者アイナー・ヘルツシュプルングは、銀河系内の既知の13のケフェイド変光星の固有運動からその距離を導き出し、リービットが発見した関係を使って小マゼラン雲の変光星に当てはめることで、地球から小マゼラン雲までの距離を3万光年と計算した(最新の計算では19万光年)。
アメリカの天文学者ハーロー・シャプレーは、球状星団で発見された変光星に着目し、天の川銀河の直径を30万光年と計算した(最新の計算では10万光年)。
1923年から1924年にかけ、ウィルソン山天文台のエドウィン・ハッブルはアンドロメダ星雲内に変光星を見つけ、アンドロメダ星雲までの距離を約90万光年と計算した。アンドロメダ星雲が天の川銀河の中にあるのかどうかは長年の論争の的だったが、ついに銀河系外にあることが確認された。

1925年、スウェーデン科学アカデミーのミッターク =レフラー教授から、リービットの発見に対し、1926年のノーベル賞に指名したいとの手紙が彼女に送られた。その手紙に返事を書いたのはハーバード大学天文台台長となっていたシャプレーであった。シャプレーは、リービットが1921年にがんで逝去したことを返信した。リービットの死去は公表されなかったため、ノーベル賞選考で死者を指名するという珍事が起きたのだった。,

参考書籍

表紙 女性と天文学
著者 ヤエル・ナゼ/北井 礼三郎
出版社 恒星社厚生閣
サイズ 単行本
発売日 2021年11月18日頃
価格 2,750円(税込)
ISBN 9784769916734
「世界を変えた天文学者」といえば、誰を思い浮かべるでしょうか。コペルニクス、ガリレオ、ケプラー、それともハッブル?みな男性ですね。地球から天体までの距離の測定を可能にする法則を発見したのも、現在も使われる恒星の分類法を確立したのも、太陽大気組成は水素とヘリウムが主体であると指摘したのも、数多くの彗星や小惑星を発見したのも、そしてパルサーを発見したのも、実は、すべて女性なのです!男性優位の研究環境の中、宇宙を愛し、研究を深め、天文学の発展に寄与した女性天文学者たちの業績とその生涯。
 

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