西暦1904年 - ポアンカレ予想

この問題は我々をはるか遠くの世界へと連れて行くことになるだろう
アンリ・ポアンカレ
アンリ・ポアンカレ
1904年(明治37年)、フランスの数学者アンリ・ポアンカレは、3次元の閉じた単連結多様体が3次元球面(3次元空間の球の表面)と同等であると主張するポアンカレ予想を提唱した。単連結とは、どんな閉じたループも一点に縮められる性質を指す。
この予想は、2002年(平成14年)から2003年にかけ、ロシアの数学者グリゴリー・ペレルマンが、トポロジーではなく微分幾何学や物理学的アプローチで証明し、2006年(平成18年)に正式に認められた。
ポアンカレ予想は、7つあるミレニアム懸賞問題のうち、2024年(令和6年)時点で唯一解決している問題である。
ポアンカレは「この問題は我々をはるか遠くの世界へと連れて行くことになるだろう」と言い残したが、ポアンカレ予想が解ければ、「宇宙の形が、ざっくり丸いか、丸くないかを確かめる」ことができる。
多くの数学者がポアンカレ予想に挑んだ。2次元の場合は自明で、4次元以上の場合についても20世紀後半に証明された。しかし、3次元については、数学者の挑戦をはねのけ続けていた。アメリカの数学者ジョン・ストーリングスは、1960年(昭和35年)に6次元を超えるポアンカレ予想を証明したが、3次元の証明にたどり着くことはできず、『どうすればポアンカレ予想の証明に失敗するか』という論文を著し、後進の数学者に警鐘を鳴らした。
そんななか、1982年(昭和57年)にアメリカの数学者ウィリアム・サーストンは、「コンパクト3次元多様体は、幾何構造を持つ8つの部分多様体に分解される」という3次元多様体の分類に関する幾何化予想を提唱した。
宇宙の形は?
宇宙の形は?
2002年(平成14年)、グリゴリー・ペレルマンはインターネットに、サーストンの幾何化予想を証明したと投稿した。だが、トポロジーを使わないペレルマンの証明法の確認に時間がかかり、2006年(平成18年)にようやく正しいことが確認され、フィールズ賞を受賞した。
優秀で社交的だったペレルマンは、しかし、フィールズ賞と懸賞金の受賞を拒否し、友人と連絡を絶ち、数学界から姿を消してしまった。かつてポアンカレが「この問題は我々をはるか遠くの世界へと連れて行くことになるだろう」と言ったように、ポアンカレ予想はペレルマンを遠くの世界へ連れていってしまったのではないかと噂されている。

参考サイト

参考書籍

表紙 宇宙が見える数学
著者 小笠 英志
出版社 講談社
サイズ 新書
発売日 2024年10月17日頃
価格 1,100円(税込)
ISBN 9784065375990
宇宙はどんな形をしているのか? <どんどん進むと「もといた場所」に戻る!> <大きさは有限。しかし境界はない。> 宇宙論や究極物質を探す最新物理学研究に用いられる数学「トポロジー:位相幾何学」。 超弦理論との関係がますます注目される「結び目理論」や4次元、5次元以上の「高次元の幾何学」を、掲載数約150点!の豊富な図とともに楽しく解説します。 4次元の世界は誰にでも見えるようになるし、今まで見えていた宇宙が違う形に見えてくる! 次のクイズを考えてください。 「地球から宇宙線で宇宙に出発します。方向をひとつ決めて、宇宙をどんどんまっすぐに進みます。どこにたどり着くのでしょうか?」 ・無限に遠くまで進むことができるのでしょうか? ・宇宙の端までたどり着いて終わりでしょうか? ・端の先には何があるのでしょうか? これから「数学」を道案内にしながら、皆様と一緒に宇宙に飛び出し、「宇宙の涯て」へと旅に出たいと思います!
 

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