フェルディナント・フォン・リンデマン
1882年、ドイツの数学者フェルディナント・フォン・リンデマンが証明したリンデマンの定理により、円周率 $ \pi $ とネイピア数(自然対数の底)$ e $ が超越数であることが証明された。
リンデマンの定理
有理数係数の多項式の根、すなわち
$$
\displaystyle
\begin{aligned}
a_nx^n+a_{n-1}x^{n-1}+\dots + a_1x+a_0=0 \qquad \\
a_n, a_{n-1},\dots, a_1,a_0\in\mathbb{Q},\, n\ge 1
\end{aligned}
$$
の解になり得る複素数 $ x \in \mathbb{C} $ を代数的数 (algebraic number) という。代数的解でない複素数を超越数 (transcendental number) と呼ぶ。代数的数を $ \mathbb{Q} $ と表す。
有理数・代数的数・超越数
1844年にフランスの数学者・物理学者のジョゼフ・リウヴィルは、
$$
\displaystyle
\sum_{k=1}^{\infty} 10^{-k!} = 0.110001 \ 000000 \ 000000 \ 000001 \ 000000 \ 000000 \dots
$$
が超越数であることを証明した。これをリウヴィル数と呼び、超越数であることが証明された初めての数である。
1882年にリンデマンは、$ \displaystyle a_1, a_2, \dots ,a_n $ が相異なる代数的数であるとき、$ \displaystyle e^{a_1}, e^{a_2}, \dots ,e^{a_n} $ は $ \mathbb{Q} $ 上で一次独立であること、すなわち
$$
\displaystyle
c_1 e^{a_1} + c_2 e^{a_2} + \dots + c_n e^{a_n} = 0
$$
を満たす代数的数の組 $ ( c_1, c_2, \dots ,c_n ) $ は $ ( 0, 0, \dots , 0 ) $ のみであることを証明した。
このことから直ちに、$ n=2, \quad a_1=0, \quad a_2=a \neq 0 $ とすると、1 と $ \displaystyle e^a $ は $ \mathbb{Q} $ 上で一次的独立となるから、0でない代数的数 $ a $ に対して $ e^a $ は超越数である。すなわち、ネイピア数 $ e $ が超越数であることが分かる。
このことから直ちに、$ n=2, \quad a_1=0, \quad a_2=a \neq 0 $ とすると、1 と $ \displaystyle e^a $ は $ \mathbb{Q} $ 上で一次的独立となるから、0でない代数的数 $ a $ に対して $ e^a $ は超越数である。すなわち、ネイピア数 $ e $ が超越数であることが分かる。
円周率 $ \pi $ が代数的数であると仮定すると $ i \pi $ も代数的数であるから、上記より $ \displaystyle e^{i \pi} $ は超越数である。しかし、オイラーの公式より $ \displaystyle e^{i \pi} = -1 $ であるから、これは矛盾する。したがって、円周率 $ \pi $ は超越数である。
参考サイト
- 超越数:笑わない数学, NHK
- 超越数の発見が拓く数の世界:慶應義塾大学理工学部
- Lindemann-Weierstrassの定理は意外と難しくない:Mathlog
この時代の世界
(この項おわり)
