
ツゾー・ウィルソン
1968年(昭和43年)、カナダの地質学者ツゾー・ウィルソン(John Tuzo Wilson)は、地球表面を覆う固い外層である地殻と上部マントルをあわせたリソスフェアが、より軟らかい層であるアセノスフェアの上を覆う十数枚に及ぶプレートとして動いているという考え方を提唱し、プレートテクトニクス理論を完成させた。

大陸移動説
イギリスを中心とした世界地図を見て、南大西洋を挟んで、南アメリカ大陸の東海岸線とアフリカ大陸の西海岸線がよく似ていることに気づいたドイツの気象学者アルフレート・ヴェーゲナーは、1912年(明治45年)、ドイツ地質学会で大陸移動説を発表した。
当時、大陸が動くこと自体が受け入れなかった。だが、1928年(昭和3年)、イギリスの地質学者アーサー・ホームズがマントル対流説を提唱し、大陸を移動させる原動力を解き明かした。
当時、大陸が動くこと自体が受け入れなかった。だが、1928年(昭和3年)、イギリスの地質学者アーサー・ホームズがマントル対流説を提唱し、大陸を移動させる原動力を解き明かした。

海洋拡大説

プレートの運動
ツゾー・ウィルソンは、こうした仮説や観測結果をまとめ上げ、ハワイ諸島が北西方向へ向かってゆっくり動く太平洋プレート上のホットスポットによって生み出された海底火山の一群であることや、大洋中央海嶺を横切っている断層は、プレートが分裂するときに水平方向にできる断層であるということを発表し、プレートテクトニクス理論を完成させた。
1968年(昭和43年)、ウィルソンはアメリカ地質学会のペンローズ・メダルを受賞。1978年(昭和53年)には、ロンドン地質学会のウォラストン・メダルを受賞した。
カナダ地球物理学界は、ウィルソンの業績を記念し、J・ツゾー・ウィルソン・メダルを設け、1978年(昭和53年)から、地質学や地球物理学に大きな業績を挙げた研究者を表彰している。
カナダ地球物理学界は、ウィルソンの業績を記念し、J・ツゾー・ウィルソン・メダルを設け、1978年(昭和53年)から、地質学や地球物理学に大きな業績を挙げた研究者を表彰している。
この時代の世界
参考書籍
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やりなおし高校地学 | ||
著者 | 鎌田 浩毅 | ||
出版社 | 筑摩書房 | ||
サイズ | 新書 | ||
発売日 | 2019年09月05日頃 | ||
価格 | 1,034円(税込) | ||
ISBN | 9784480072511 | ||
日本列島は2011年にマグニチュード9の巨大地震に見舞われて以来、千年ぶりの「大地変動の時代」に入った。4枚のプレートがひしめく日本で生き延びるには、地学の知識が不可欠だ。本書は、大学入試センター試験に出題された問題を解きながら、地球内部の構造、日本列島の成り立ち、地震と噴火のメカニズム、地球温暖化問題、宇宙の歴史まで、「壮大」かつ「実用的な」地学のエッセンスを、京大人気No.1教授の「科学の伝道師」が解説する。すべての日本人に捧げる、サバイバルのための地学入門! | |||
(この項おわり)