西暦1894年 - コヒーラ検波器の発明/ドレフュス事件

電磁波と心霊現象の狭間

コヒーラ検波器の発明

オリバー・ロッジ
オリバー・ロッジ
1894年、イギリスの物理学者、オリバー・ロッジコヒーラ検波器を発明する。
検波器とは電磁波を検出する装置である。コヒーラ検波器は、ガラスに金属粉が封印された形をしており、2つのリード線が出ている。電磁波が届くとリード線の間の抵抗が減少し、これによって検波を行う。

これがマルコーニによる無線通信技術へとつながるのだが、その原理は21世紀になってようやく解明された。
1898年には、イギリス王立協会が熱と光のすぐれた研究に与えるランフォード・メダルを受賞し、ナイトの爵位を得た。
コヒーラ検波器
コヒーラ検波器
一方でロッジは、第一次大戦で亡くなった息子レイモンドを追悼する『レイモンド』を著した。
当時の降霊会
当時の降霊会
これは、冥王星の命名者と知られる天文民俗学者の野尻抱影 (のじりほうえい) によって翻訳され、日本にも紹介された。
ロッジは、死後の世界を信じており、交霊者を通して行ったレイモンドとの交信録をそこに綴ったものである。ロッジは、電磁波が距離を隔てた空間を超えて交信できることから、霊界との交信も可能であると信じていた。
また、目に見えない霊界こそが実在の世界で、現世はエーテルが凝結したものに過ぎないと主張した。

19世紀末、イギリスを中心にヨーロッパで超常現象がブームになった。ロッジ以外にも著名な科学者が心霊現象に傾倒していく。
博物学者のウォーレスは、動物は自然選択に従って進化してきたが、それだけでは説明の付かない道の精神宇宙が存在すると主張した。クルックス管を開発したくルックスは、降霊会に参加し、物質化された霊と腕を組んで歩いたという体験を語っている。
科学の発達がキリスト教による束縛を解放する一方、科学は宗教と異なり万能ではないという自覚があることから、古代の神秘主義が復活したような格好である。1875年には、アメリカで神智学協会が設立されている。

ドレフュス事件

剣を折られるドレフュス
剣を折られるドレフュス
1894年、フランス陸軍参謀本部勤務の大尉であったユダヤ人のアルフレド・ドレフュスがスパイ容疑で逮捕されるという冤罪事件・ドレフュス事件が起き、フランスの第三共和政の共和政治を脅かす事件となった。
フランス革命よって、自由・平等・博愛の理念からユダヤ人の人権も認められたが、カトリック教会の中ではユダヤ人はキリストを裏切ったユダの子孫という単純な憎悪があった。
当時フランスは、1889年のブーランジェ事件、1892年のパナマ事件などが続き、共和政治に対する不信が強まり、一方で普仏戦争の敗北でドイツに奪われたアルザス・ロレーヌの奪回を叫ぶ国家主義の声も強まっていた。
普仏戦争後、フランスに移住するユダヤ人が増え、ユダヤ系金融資本や産業資本が利益を蓄え、は共和政を支持する勢力となっていた。しかし都市の下層民や農民はそのようなユダヤ人の成功に反発する心理も強くなっていた。

1894年、フランス参謀本部の諜報部がドイツ大使館に送り込んでいたスパイが盗み出したメモの中に、フランス陸軍の誰かが書いたと思われる機密情報があった。ユダヤ人を差別していた参謀本部はアルフレド・ドレフュスを反逆罪で逮捕した。1995年、ドレフュスは終身刑となり、南アメリカのフランス領ギアナ沖合にある悪魔島に送られた。
その後、有罪の証拠が捏造であることが明らかになり、1899年6月、ドレフュスは悪魔塔の禁固を解かれ、1906年、ようやく無罪となって軍籍に戻った。

この時代の世界

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参考書籍

表紙 レイモンド―「死後の生存」はあるか
著者 オリヴァー・ジョーゼフ・ロッジ/野尻抱影
出版社 人間と歴史社
サイズ 単行本
発売日 1991年11月01日頃
価格 3,417円(税込)
ISBN 9784890070725
 
(この項おわり)
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