西暦1974年 - 「宇宙戦艦ヤマト」放映開始

無限に広がる大宇宙‥‥
宇宙戦艦ヤマト
1974年(昭和49年)10月6日、日本テレビ系列でSFアニメ『宇宙戦艦ヤマト』の放映がはじまる。西暦2199年、地球は謎の異星人・ガミラス帝国の侵略を受け、放射能汚染で地上の生物は死滅した。人類は地下に生活圏を移し、宇宙でガミラス軍と戦うがまるで歯が立たない。そんなある日、イスカンダル星から救いの手が差し伸べられる。太平洋戦争末期に九州沖に沈没した戦艦大和を宇宙戦艦に改造し、大マゼラン星雲にあるイスカンダル星まで放射能除去装置を受け取るために14万8千光年の旅に出発する――。

日本テレビでは、日曜夜19時30分から20時まで、翌1975年(昭和50年)3月30日にかけて26回が放映された。
同じ時間帯にフジテレビでは「カルピスまんが劇場~アルプスの少女ハイジ」を放映しており、子どもがいる大多数の家庭はハイジを見ていた。ハイジの視聴率は平均20.7%。これに対してヤマトは平均6.0%と振るわず、放送開始時に39話を製作する予定が、26話で打ち切りになってしまった。
日本人は石油ショックに打ちのめされ、『ノストラダムスの大予言』『日本沈没』がブームとなっていた。海外ロケハンを敢行し、色鮮やかなアルプスの自然を描いたハイジに対して、赤茶けた大地に錆び付いたヤマトは分が悪すぎた。ヤマトクルーは25話で放射能除去装置を受け取ると、最終26話でもう地球に帰ってくる。

だがしかし、ヤマトは終わらなかった。監督の松本零士は漆黒ではない宇宙空間を描いて見せ、そのなかをスタジオぬえによる丸みを帯びた独特なデザインの宇宙船が疾走し、宮川泰のオーケストレーションによるBGMと、阿久悠が歌詞を書き、ささきいさおが歌う主題歌が流れる――主人公の古代進、森雪、島大介は18歳、彼らを支える沖田艦長は52歳、佐渡先生は54歳。それは子どものためのテレビ漫画ではなかったのだ。太平洋戦争を生き延びた中高年と、高度経済成長の終焉にされされている若者世代が、それぞれの思いを胸にして見ることができる作品だった。アライヒロユキの言葉を借りれば、「老人と若者の『共存』する共同体が『ヤマト』である」。

ヤマトは、1975年(昭和50年)8月の日本SF大会のファン投票で星雲賞を受賞。1976年(昭和51年)1月から読売テレビで再放送が始まり、他の地域でも次々に再放送が始まり、日本テレビでは20%の視聴率を記録し、ブームに火が付いた。
同人誌の題材となり、漫画の売上が伸び、まだセルビデオはなかったがレコードの売り上げが好調で、ラジオ番組がはじまり、結果的にメディアミックスとなり、アニメーションというジャンルが国民に認知されていった。

本放映を再編集した劇場版が1977年(昭和52年)8月6日に公開された。当初、東京の4館のみの上映だったが、全国ロードショーへと発展する。
1978年(昭和53年)8月5日には劇場版第2弾『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』が公開され、邦画第2位となる21億円の配給を叩き出す(1位は『野性の証明』)。この年、『スター・ウォーズ』『未知との遭遇』が公開され、本格的なSFブームが到来した。劇場版は、2009年(平成21年)12月12日公開の『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』まで5作品が制作された。
一方、「さらば‥‥」の結末を変えたテレビ番組『宇宙戦艦ヤマト2』は1978年(昭和53年)10月14日から半年間、『宇宙戦艦ヤマトIII』が1980年(昭和55年)10月11日から半年間放映された。
その後リメイクされ、2012年(平成24年)4月7日から『宇宙戦艦ヤマト2199』の劇場公開が始まり、オリジナル・シリーズに新しい解釈を加える形で『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』がつくられ、再編集され地上波でも放映されている。

参考サイト

この時代の世界

1875 1925 1975 2025 1974 1975 「宇宙戦艦ヤマト」放映開始 1934 2010 西崎義展 1938 2023 松本零士 1931 2006 宮川泰 1954 映画「ゴジラ」封切り 1910 1997 田中友幸 1928 1989 手塚治虫 1966 「ウルトラマン」放映開始 1938 1976 金城哲夫 1926 1997 星新一 1912 1999 糸川英夫 1972 あさま山荘事件 1978 日本語ワードプロセッサ「JW-10」発表 1969 腕時計「セイコークオーツアストロン」発売 1970 人工衛星「おおすみ」打ち上げ 1982 PC-9801発売 1983 ファミリーコンピュータ発売 1973 セブン-イレブン 1号店オープン 1975 1976 沖縄国際海洋博覧会 1972 沖縄返還 1918 1993 田中角栄 1976 ロッキード事件 1970 大阪万博の開催 1970 三島由紀夫が割腹自殺 1925 1970 三島由紀夫 1970 よど号ハイジャック事件 1968 三億円事件 1967 ツイッギー来日 1964 東海道新幹線が営業開始 1964 東京オリンピックの開催 1910 1980 大平正芳 1907 1988 三木武夫 1905 1995 福田赳夫 1896 1987 岸信介 1901 1989 昭和天皇 1966 1969 SFテレビドラマ『宇宙大作戦』 1979 SF映画『スタートレック』 1982 SF映画『スタートレックII カーンの逆襲』 1921 1975 ジェイムズ・ブリッシュ 1921 1991 ジーン・ロッデンベリー 1915 1984 ケネス・アーノルド 1974 「アルテア8800」発売 1977 Apple II 発売 1955 2011 スティーブ・ジョブズ 1950 スティーブ・ウォズニアック 1956 スティーブン・バルマー 1955 ビル・ゲイツ 1903 1995 アタナソフ 1971 インテル、4004発表 1964 世界初のスーパーコンピュータ 1964 Cray-1 発売 1925 1996 シーモア・クレイ 1981 IBM PC発売 1937 1985 ドン・エストリッジ 1969 ARPANETが始動 1973 ウォーターゲート事件 1913 1994 ニクソン 1963 ケネディ大統領暗殺 1962 キューバ危機 1908 1973 ジョンソン 1969 人類、月に立つ 1977 ボイジャー1号打ち上げ 1981 スペースシャトル初飛行 1979 スリーマイル島原子力発電所事故 1920 1992 アイザック・アシモフ 1907 1988 ロバート・A・ハインライン 1934 1996 カール・セーガン 1965 1975 ベトナム戦争 1959 キューバ革命 1962 ベルリンの壁建設 1958 国際原子時がはじまる 1989 ベルリンの壁崩壊 1970 ペンローズ・ホーキングの特異点定理 1961 人類初の有人宇宙飛行 1934 1968 ユーリ・ガガーリン 1963 女性初の宇宙飛行士 1902 1988 マレンコフ 1894 1971 フルシチョフ 1906 1982 ブレジネフ 1986 チェルノブイリ原子力発電所事故 1967 愛新覚羅溥儀が死去 1893 1976 毛沢東 1898 1976 周恩来 1898 1969 劉少奇 1907 1971 林彪 1904 1997 鄧小平 1966 1976 文化大革命 1989 天安門事件 1965 1975 ベトナム戦争 1979 イラン革命 1979 1989 ソ連のアフガニスタン侵攻 1902 1989 ルーホッラー・ホメイニー Tooltip
(この項おわり)
header